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第32話 辺境伯家2

さわやか長身イケメンと真っ赤のドレスを着た美女が向かい合っている。

ファンタジー小説の表紙のように絵になりますな~。


少し違和感があるとすればここは訓練場でお互いに剣を持っていることぐらいか。

なんでゴブ?婚約にきたのじゃ無かったゴブ!

普通は親から紹介された後、若い二人で庭でも散歩してきなさい・・とかゴブ。


「それではお互い一礼をもって・・・始め!」


辺境伯の開始のセリフが言い終わるが早いかマゼンタ嬢が突進した。


「ふっっ!」


だが、ほぼ不意打ちに近い先制ダッシュ刺突も読まれていたのか華麗に躱される。


さわやかイケメンは長剣なのにマゼンタ嬢の細剣のスピードに負けずに捌いている。

攻撃より守備優先のようだ。

何かを狙っているようにも見えるが・・・


「くぉぉ!腕1本失くしても回復しても私の人生に変わりは無いのよぉぉ!」


マゼンタ嬢は極度の興奮状態になってきたようだ。

そしてさっきから首や胸などの急所を的確に狙っている。

殺意が高すぎるゴブ。


さわやかイケメンは騎士正統の剣技なのだろうか?体の芯もブレずに最小の動きで躱したりはじいたりしている。

残念だがマゼンタ嬢より数段格が違うかもしれないゴブ。


「くっ。強いですね。ですが少しお利口すぎます!」


マゼンタ嬢が左手で何か棒状のものを投げつけた。

スカートの中に棒手裏剣みたいなものを隠し持っていたようだ。


カカカン。


3本同時に投げたようだが全て剣で防がれたようだ。


同時に突進したマゼンタ嬢が刺突をフェイントに前蹴りを放つ。


「うぐっ」


さわやかイケメンの顔が歪み少しよろけた。


「いただきです!」


すかさずマゼンタ嬢が今日一番に速い刺突を繰り出した。


さわやかイケメンの瞳孔がカッと開き、口元に少し笑みが出た。


マズい!よろけたのは演技ゴブ!何か狙っているゴブ!


マゼンタ嬢の刺突をイケメンは躊躇せず左手の平で受けた。


貫通したままの左手で細剣の根本を掴む。


「やっと捕まえましたよ!」


すかさず剣の束でマゼンタ嬢の腹に一撃を入れる。


「ぐはっ」


マゼンタ嬢は予想外の反撃をモロに受けてに体がくの字になってしまった。


「ぐっ。まだまだ・・・。うプっ、げぼろろロ・・・」


マゼンタ嬢が盛大に吐いている・・・。

イケメンさんの左手にはマゼンタ嬢の細剣が刺さったままだし。


「勝負あり!勝者、我が息子サミエル!」


辺境伯が勝敗を宣言した。


何だコレ。婚約の挨拶なのに血だらけ、ゲロまみれゴブ。

貴族の常識が分からないゴブ。

そしてあまりの迫力に3摘ほどちびってしまったゴブ。


「ミセッティ。貴族が全てこんな感じではないと思いますよ?変な常識をもたないでくださいね?うちの派閥と辺境伯が異常なのです」


お嬢様がそっと教えてくれた。

やっぱりか・・・そんな気がしたゴブ。


「ハッテンダム子爵、そなたの娘マゼンタ嬢の勝利への執着はなかなかである」


「はっ。辺境伯のご子息も冷静かつ大胆。普段の過酷な訓練が垣間見える素晴らしい試合でしたぞ」


お互いの親は高評価のようだ。


「さて場も暖まったことですし、次はお互いの騎士5人で順に手合わせといきましょう。アイラは二人を医務室で回復してきてちょうだい。二人の邪魔はしないでね」


「よっし。その言葉を待ってました!」

「お嬢様の雪辱は我らで下す」

「俺たちは坊ちゃんのように上品じゃないぞ」


騎士たちが色めき立つ。もうどうでもいいゴブ・・・。早く帰りたいゴブ。


「それでは医務室に行きましょう。マゼンタ嬢、どうぞこちらへ」


イケメン君・・じゃないサミエル様がマゼンタ嬢の手を取って立ち上がらせる。


「はい・・・」


マゼンタ嬢は顔が少し赤くなってうつ向き恥じらいながら手をつないで歩きだした。


えっと・・アレでイイ感じになったんですか?

ゲロまみれで恥ずかしいわけじゃ無さそうゴブ。

マゼンタ嬢が女の顔になっているゴブ。


「私たちも行きましょう。何だか相性の良さそうな素敵な二人ですね」


うちのお嬢様も少し常識がズレているかもしれないゴブ。


後ろで試合の歓声があがるのを聞きながら3人についていった。

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