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第31話 辺境伯家

「はい。これ紹介状ね」


午後のお茶会に参加していると奥方様がハッテンダム子爵に封筒を手渡した。


「ハイブリンガー辺境伯もハッテンダム家のお嬢様であればとかなり前向きな感じだったわ。すぐにでも会いに行ってらっしゃいな」


貴族の慣習にのっとって紹介状を書いたらしいが、実際の要件は通信の魔道具で即座に全て伝えたようだ。


寄親クラスの有力貴族は通信の魔道具を屋敷に設置しているらしい。

国境防衛を担う辺境伯と軍を束ねる軍閥系貴族が直通回線を持つのは当たり前ゴブな


今は戦争の気配がないため、色恋やうわさ話の拡散に使われているとか。

平和ゴブ。


「よし、先触れを出せ。今から辺境伯の元へ参ろうぞ」


「ふぇぇ。今から出発ですか?」


「ゴブ」(めちゃくちゃ判断が早いゴブ)


貴族は婚約だの結納だの慣習だらけで結婚まで2,3年必要だったりしないのかゴブ


「まぁ、私たち軍閥組は合理主義かつ迅速な決断を是としていますからね」


冷静に語る出来るメイド、カタリナさんもおそらくこちら出身ですよね。


「わたしも一応、派閥の貴族出身ですよ~。男爵家ですけど~」


恐いもの知らずの度胸は認めてやるゴブ。


「奥様、辺境伯のお屋敷との転送陣が発動しているようです」


「あらあら~。あちらはかなり本気のようですね。こちらもすぐに開放しなさい」


転送陣!夢が広がるゴブ。お互いに門を開かないと行き来は出来ないようだが。


「こんなこともあろうかと着替えておいてよかったですね、マゼンタ」


「うう、まだ騎士に復帰してから丸2日も経っていないのに・・・」


「先触れを出して馬車で向かおうと思っていたが、せっかくのご厚意である。お伺いせねば礼を失することになる。皆の者、早う支度を進めるのだ」


「はっ。我ら従者5人ほどではありますがいつでも出立可能です」


「うむ。それでは奥方様。よろしくお願いいたす」


この人たちも目茶優秀だな。話が動いてからまだ10分も経っていないゴブよ。


「お館様もお嬢様もこれを」


大剣と細剣がそれぞれ子爵様とマゼンタさんに手渡される。


「辺境伯のところは国内随一の猛者が集まっていると聞くぞ」

「辺境伯自身も数多の伝説をお持ちであるからな、一手ご教授願いたいものだ」


護衛の皆さんが殺気立ってきている。


おいおい、婚約の話に行くのがいつのまにかカチコミに行く話みたいになってるゴブ


「こちらは一応、アイラちゃんとミセッティも同行しますから遠慮はいりませんよ」


「うむ。ひさしぶりに命のやり取りが出来そうなのである」


「ゴブ」(合理主義というより脳筋、戦闘狂の派閥だゴブ)


「それでは参りましょう。地下室になりますわ」


奥様もいつの間にか帯剣されているゴブ。ダメだこの人たち・・・


「私は直接切りあうとか苦手なんだからしないわよ?」


この殺伐とした空気の中でお嬢様はオアシスですな~。


転送陣が輝き、少し気圧が下がったような、体重が無くなったかのような不思議な感覚に襲われる。

一瞬、めまいがしたかのようだが目を開けるとそこはもう違う部屋だった。


身長2m以上ありそうな雪男が腕組みして立っている。


「ようこそ。我が屋敷へ。話は聞いている。今息子を呼びに行っているゆえ、しばしの間待たす非礼を許されよ」


「ハイブリンガー辺境伯。ご無沙汰しております。コスタリア家長女サイメリアにございます。このたびは私ともの急な来訪に応じていただき感謝いたします」


「むう。奥方殿であったか。相変わらず若く麗しい。うらやましい限りであるな」


「ほほほ、此度の主役は私ではありません。こちらがハッテンダム子爵が長女マゼンタ嬢です。こう見えてもかなりの使い手なのですよ」


「武芸に名高いコスタリア七傑のうち1,2を争うハッテンダム家との縁は願ってもないことである。我が息子に良い縁談になれば幸いであるな」


そう言って通された場所は応接室では無く、訓練場だった。やっぱりな。


「父上。遅くなり申し訳ありません。して火急の用とは一体何でしょうか?またゴブリンのスタンピートですか」


おっと、今一瞬聞捨てならないセリフもあったがすらりと背が高く蒼髪のさわやかイケメン君が現れたぞ。


「うむ。紹介する。こちらが其方と結婚するハッテンダム家長女マゼンタ嬢だ」


「まずは一度、手合わせするがよいぞ」


いやいや、おっさん。色々全て省略し過ぎゴブ。


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