第28話 侯爵家9
(主人公気絶中のためお嬢様目線にて)
「ミセッティちゃんをソファで横に寝かしてあげなさいね。丁重に扱うのですよ」
「承知いたしました、奥様。ささっお嬢様、あとは私たちにお任せください」
疲れ果てて気を失ったミセッティを丁寧にメイドさんが運んでいく。
私も後ろを付いていきソファに座る。
MPを使い果たしたのかしら?聖魔法を使うと自身にダメージがあるといつも言っているからそちらの方がひどいのかしら。
いつのまにか回復しているけど。
私の半分ぐらいの身長なのによく頑張ってくれる。
もうテイムしているとか関係なく私の傍にいてほしい。
少し生意気で欲張りだけどこの子と出会えたことを女神様に感謝いたします。
寝室からお母様が下着姿で出てこられた。
え・・・お母様?・・・ですよね?
「お母様・・・ですか?私一瞬、コーネリア大姉様が戻ってこられたのかと勘違いしていまいそうになりました」
そこには20歳ぐらいしか見えない女の人が立っていた。
いやよく見なくてもお母様の面影はしっかりと残ってはいるのですがあまりの変貌ぶりに初見では他人の空似かと勘違いしてしまいそうです。
「ふふふ、アイラちゃんもそう思うかしら。ほんの少しだけ若返ったようで嬉しいわ
着ていた服もサイズが合わなくなってしまって、少・し・だ・け余分なお肉が無くなったみたいですね。コーネリアの嫁入り前の服はまだ残っていたかしら」
私の知っているお母様より少しツリ目になった新・お母様がメイドたちに上機嫌で指示を出している。
時間が経って元に戻るなんてことは無いわよね?殺されるわよ。
戻らないならそれはそれで別の大問題が起きそうですが。
「旦那様に使いを出して今週末は必ずお戻りいただくように伝えなさい。とても大事な話が私からあるとしっかりと伝えるのですよ」
「ふふふ、旦那様がお帰りになるのが楽しみですわ。料理長にもしっかり協力してもらいましょう」
「奥様、コーネリア様の服をお持ちいたしました。いかがでしょう」
「コーネリアは意外と肉付きが良かったのかしら。少し締めないと緩いわね・・・」
服を試着してさらにお母様の機嫌が良くなったみたいですわ。
「ところでゴブリンの寿命はどれくらいなのかしら?」
「そうですね、1年で成体になるようですからね。一般的な愛玩動物と同じように考えると野生で5,6年。きちんと世話をして10年といったところでしょうか?」
カタリナは何でも良く知っているわね。一番古いメイドで第一線を退くまではメイド長とおばあ様の側仕えを兼任でこなしていたとか。
ピンと伸びた背筋にはきはきした言葉使いで年齢を感じさせないのです。
「何としても15年は生きてもらわなければいけません。カタリナ、あなたにはこれまで通り、アイラちゃんの世話人をこなしながらミセッティの健康管理、安全管理をよろしくお願いいたしますよ」
「かしこまりました、奥様。魔物によってはさらに進化によって能力が向上するものもいると聞き及んでおります。かのゴブリンもさらにコスタリア家のために尽力を尽くせるように手をつくします。そのためにはこの身を犠牲にする覚悟です。くふ」
「あ~。カタリナさんが笑ってます~。初めてみました~。犠牲になるとか言ってゴブリンさんの聖魔法を自分で試そうとしています~。ズルいです~」
マリーってばまた言わなくてもいいことを・・・
でもいつも意外と的を得ているのですよね。
「フフ。何を言い出すかと思えば・・・。どんな効果があるのか副作用は本当に無いのか確かめるのは傍仕えの役目、そして老体である私が一番先に犠牲になるのは自然の摂理というものです。先の長い若者たちを犠牲には出来ません」
今日のカタリナはよくしゃべりますね。
でも私も少し泣いて疲れました。さすがにこれ以上ミセッティに魔法を使わせることは無いでしょうしね。
さあお部屋に戻って休みましょう。
「お嬢様、今日はお勉強を全く出来ておりません。午後のお茶の時間までペースを上げて進めないと遅れが出てしまいます」
ぐぅ。さすがカタリナ。浮かれていてもきっちり仕事はこなしますわね。




