第21話 侯爵家2
フフフ・・・鏡の前で笑顔とかわいいポーズをとってみる。
前世のオレの面影を残しつつ女神様の雰囲気もあり、なかなか美人じゃないか。
肌は薄い緑色だけどな・・・髪も金髪だし(枯草色ともいう)
人間だったら勝ち組確定の姿だな。
緑色だけど。
窓の外を見てみる。
澄み渡るような青い空だ。
心が洗われるようだ。
肌の色や髪の色、種族や男や女、オスメスに何の意味があるっていうんだゴブ。
今時そんな時代遅れなことにこだわっているとハラスメント案件で訴えられるゴブよ
・・・自分が当事者になるとは思ってもみなかったがな。
転送間際で種族変更に間に合ったと思っていたのに、実際には性別選択ボタンだったらしい。だから最後に確かに変更した感触があったのにゴブリンのままだったのか。
何かおかしいとは思ってたゴブ。
同じくらいに生まれたやつらは早々に外廻りに駆り出されていたのにオレはいつまでも奥に居てよかったし。
ゴブリンマザーの強力な催淫スキルにも反応しなかったもんなー。
まだ幼生だし、実の子供だから効果が無いのかな~とか思ってスルーしてたけど。
まわりのやつらが優しくて肉を恵んでくれていたのも今思えばオレを嫁候補だとしての行動だったのかも。
あと半年もあそこで暮らしていたらと思うとゾッとするぜ。
童貞を捨てる前に純潔を散らすってどんな人生だよ。
「ゴブフフフ・・・」
「小鬼さん~。おーい。・・・アレは大丈夫なんっすか?さっきから鏡の前で変なポーズしたり笑ったり、窓の外を遠い目をしてため息ついたかと思ったらまた椅子に座って薄ら笑いし始めてるっすよ。声かけても返事しないっすし」
「出会った時からおかしいはおかしいのですが、今朝は特におかしいですわね・・・さっきからずっとこんな感じでうろうろしながら笑ったり泣いたりしているのです」
少し年配のメイドがお嬢様に近づきそっと報告する。
「どうやら自分のことをオスだと思っていたらしくメスだったことに気づいて相当なショックを受けているようでございます」
「何かボーっと立ち尽くしていたから着替えさせるのは楽だったです~」
「ぶははっ。どっからどう見てもメスだったっす。それに普通、ションベンした時に気付くっしょ」
「ゴブ!」(下品なことを言うなゴブ。こっちは繊細な乙女ゴブ)
「ゴブリンさんが怒っていますわよ、女の子に対して下品なこと言うなって」
「ぶははっ~。悪いっす。またお腹がすいているかと思って俺っちの朝ご飯の残りだけど持ってきたっす」
「ゴブ~」(いつも悪いゴブな~。優しさにふれると少し元気が出るゴブ)
手渡されたのは肉の全くついていないホネだった。
「ゴブ!」(残飯ですら無くて食べかすゴブ!)
べしっと床にホネをたたきつけて抗議した。
「ちょっと!!私の部屋にゴミを捨てないでくださいまし!!」
「ゴブ!」(もうどうでもいいゴブ!好きに犯せばいいゴブ)
「私の部屋で卑猥な発言はやめてくださいまし!」
「ぶははっ。ゴブリンの、しかも幼生体に手を出すやつなんていないっす。
全人種を制覇したって自慢している大お館様でもゴブリンを相手にしたっていう話は聞いたことがないっす」
「・・・お母様がお待ちですから早く参りますわよ」
「そういえばあなたのお名前を決めていません、もう名前があるなら教えてくださいまし」
名前か~。やっぱり人として社会生活を送るには固有名詞って大事ゴブな。
魔物に名前ってネームドモンスターって感じで違う意味があったりするが。
キャラメイク画面でそこまで入力する時間が無くて(未設定)のままなんだよな~。
「ゴブ」(名前は未設定なんだゴブ)
「あら、ミセッティなんておしゃれな名前じゃない」
「ゴブ!?」(未設定ゴブ!ってやばいこの流れは・・・ステータスオープン!」
名前 ミセッティ
種族 ゴブリン
職業 ゴブリンヒーラー
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ぐはっ・・やっぱり名前登録されてしまったゴブ。




