第20話 侯爵家
そして3年が経った。オレは侯爵家でテイマーとしてお嬢様の傍でしっかりと役目を果たし、テイマーというより客人としての待遇を受けている。
そしてオレは成人したお嬢様に惜しまれながら、また旅に出たのだった。
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って感じになるって言ってたじゃん・・・うそつきゴブ!
オレは今、屋敷に居るわけでもなく、使用人の寮でもなく・・・馬小屋にいる。
屋根は一応あるけどワラの布団にエサ箱にこれでもかと穀物が入っている。
隣りは騎士団の馬らしく、荒い鼻息やう〇こをしてる音がうるさい。
騙されたゴブ。
「よーすっ。小鬼は居るっすか~?」
「ゴブ~」(ここにいるゴブ~)
「腹減ったっしょ。食堂から残飯だけどもらってきたっすよ」
「ゴブ」(ありがとうゴブ)
例え自分が期待した待遇でなくてもしっかりと感謝の気持ちを忘れないゴブ。
オレは大人なのだ。生後2か月だけど。
「こんなところで悪いっすね。一応、従魔は騎士団の馬小屋で大事に見張っておくってことが決まっているらしいっす。エサも馬番が3食出してくれるみたいっす」
「ゴブ!」(それは種類が騎乗系だったり獣系の従魔の場合だと思うゴブ)
「ゴブブ!」(ゴブリンは人型なのでもっと健康で文化的な生活を希望するゴブ)
「あはは、何言ってるか全然分かんないっす」
くっ。翻訳スキルが無いやつに言葉が通じないゴブ。
ゴブリンの巣穴よりはるかにマシだから別に不満はないけどね。
全身のやけども回復したし。
再生スキル持ってて本当に良かったゴブ。無かったらもう死んでるゴブね。
馬車に乗せられて揺られているうちに完全に眠り込んでしまったようゴブ。
気が付いたら馬小屋に寝かされていた。
一応ポーション的なものをかけてくれていたようゴブ。
信頼を得るために聖魔法を使いまくったゴブ。
こっちは魔物だから小さくダメージが入るってのに。
「ゴブ~」(おやすみゴブ~)
お腹がいっぱいなので眠たくなってきたゴブ。
ゴブリンになってから細かいことや難しいことを深く考えるのが面倒になったゴブ。
次の日の朝。オレが朝のストレッチをしているとあのメイドさんがやって来た。
「ゴブリンさん~。おはよ~ございま~す」
出たな。ぽんこつメイドめ。
「昨日はよく寝れましたか~。お嬢様がみんなに紹介したいとのことなので準備いたします~。体を拭いて着替えま~す。朝ご飯もありますよ~」
「ゴブ」(ありがとうゴブ)
例え恨みのある人物でもしっかりと感謝の気持ちを忘れないゴブ。
オレは大人なのだ。生後2か月だけど。
例え恨みのあるぽんこつメイドでもな!!
大事なことなので2回言いました。
朝ご飯は柔らかいパンだった。黒パンでカチカチなのが出てくるかと思ったが貴族だけでなく一般でも白パンが食べられているらしく食料事情は結構悪く無いようだ。
「では奥様に会うのに失礼が無いように正装に着替えましょうか」
ふふふ。ゴブリンとはいえ中身は社会人だからな。
こっちのマナーは分からないが不快な思いをさせない程度はこなしてみせるゴブ。
紳士のたたずまいで失礼のないように挨拶するゴブ。
「お嬢様のドレスがまだ捨ててなくて良かったですね。これならすぐに間に合いそうです。緑の肌に合う色は何色になるのかしら~」
「ゴブ」(おいコラ、何を言っている)
「これなんか懐かしいです~。でもやっぱり緑には赤かピンクですよね~」
「ゴブ!」(だ・か・ら、違うって言ってんだろ!)
こいつ本当にぽんこつだな。オスとメスの区別もついていないのか?
そう言って文句を言っている間にフリフリ下着を脱がされ鏡の前で真っ裸にされた。
さすが侯爵家だ、結構大きな鏡があるもんだゴブ。
「ゴブ!!!」(なんだと!!!)
無い。
自分の姿を初めて鏡でしっかりと見たが・・・無いゴブ。
オレがオレであるための例のアレが。
鏡の前にはつるペタ、ぽっこりお腹の緑色の幼女ゴブリンが立っていた。
悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました。
そしてオスでもありませんでした。




