第19話 帰還2
「あんな感じでよかったっすかね?」
「うむ、貴様のとっさの判断で聖魔法はお嬢様から行使されていることに出来た」
「魔法使い連中は納得していない様子だったっす。上流貴族のスキルに関わることなんで簡単にぺらぺら触れ回ることは無いでしょうが、一応くぎ刺しといたっす」
「しっかしあのゴブリン幼生体は何モンですかね~ヒールってのは目に見える外傷を癒すだけのイメージだったすけどジョセフ爺のヒザの痛みも治ったっていうし」
「我が悩みであった右手親指のしびれも治っている」
「ふぁ~。そりゃすごいっす。じゃあまたコスタリアの青い死神の復活っすね」
「全盛期のようにはいかんがまた剣を全力で振れる日がこようとはな」
「どうする?お目付け役として第1騎士団長から陛下へ報告するか?」
「う~ん、近衛騎士団が各貴族家に出向して密偵の役目も果たすってのは抗争の絶えなかった70年前の伝統で今はただの顔合わせの交流的な側面が強いっすからね」
「自分としては侯爵様の公式発表のまま同じ内容を報告しておくっす」
「賢明だな」
「コスタリア侯爵家は国王派だし問題ないっしょ。自分もあることないこと書いてさらにその説明を求められたり調査を命じられても面倒ですし。
何より報告書より先にこの首がとぶのも避けたいところっす」
「ふむ。我よりも剣の腕が立つくせによく言う」
「まあうちはどの国とも戦争して無いですからね。お嬢様がいきなり戦場に派遣なんてことはほぼ無いっしょ。普通の回復魔法よりも効率が悪いってことにしておけば」
「あとはあのゴブリンがお嬢様の元より逃げ出さいようにしなければならん」
「隷属の魔法でもかけときますか?」
「無理だな。聖属性の使い手に闇魔法は効きにくい。それにお嬢様がいい顔をせぬ」
「まぁ、お嬢様とは意思疎通がしっかり出来ていますし、本当にテイムしてるかもってところっすね。違うとしたらお嬢様は何のスキルをお持ちなんだか」
「どちらにせよ。お嬢様も12歳。成人前の社交界デビューにスキルが発現してお館様、大お館様もひと安心であろう」
「いまだに貴族家はスキルの強さで貴い血筋を自慢してますからね~。スキルなんて女神様のきまぐれだってみんな分かってるのに。
まぁ、王家や王族に近い血筋には強力なスキルが多く出てるってのは事実っすけど」
「お館様も兄上様もスキルが発現されているからな、スキルなしだと辛いだろう」
「報告するまでもなく嬉しがって本人やまわりが広めそうっすね」
「密偵としてはつまらないか」
「これで毎月の報告書に書くネタが増えてよかったっす。先月は書くことが無くてメイドさんたちに情報を聞いた最近領都で流行っているハーブティーを報告したっす」
「近衛隊長も苦労しているな」
「王妃様とその側近から報告だけでなく実物も送るように返信があったっす」
「貴様も五男とはいえ公爵家の末席なのだ、少しはお国のために貢献しろ」
「密偵にそんなこと言っていいんすか~」
「真剣に国のために働き、お館様に仕える決心をしたら我が娘をくれてやる」
「隊長の娘って先月産まれたばかりでしょ」




