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第111話  招かれざる客18

「お前たち、簡単に捕まって恥ずかしくないのかい、修行のやり直しかねぇ」


ドノバンが密偵さんたちを解放したようで若い女からおっさんの5人が揃う

見た目には訓練されているように見えないな、普通の町人さんたちだ


「いや~、最初はうまく紛れ込んだんですが調査を始めるとどこからともなく白いネズミがまわりをちょろちょろしてきて仲間を呼ぶんですよ」


「そうそう、一回ボスっぽいのを絞めたんだけどまたすぐに復活してくるし、ホントどうなってるんだよ、きりがないよ」


「ゴブ~」(お~い、一度クィーンがやられたのか?)


「ちゅちゅ~」


「チュー太は常に3匹で記憶共有してるから1匹やられてもすぐに別の1匹に記憶譲渡して3匹目のクィーンとして復活するんだって、ずっと一緒にいられるね~」


「ゴブ・・・」(それはよかったゴブね・・・)


クィーン3匹を同時に殺さないとすぐに復活してくるってもう無理ゲーなんじゃね?

こどもたちもネズミ算的に増えているようだし駆除はもう不可能だな

まぁ人間に害意は無いようだし深く考えるのはやめよう


「この下町の1軒1軒に1匹ずつ住まわせているんだよ~最近は拝まれて餌台を用意してくれる家もあるんだって~もう少しで1人につき1匹つけれそうだって」


町人1人につき守護聖獣1匹かそりゃすごいゴブ

治安が良くなって犯罪が撲滅してくれそうでなによりゴブ


「あたしゃこの町の安全よりも世界が安全になるか不安だよ」


お婆さんがため息まじりでつぶやく

その気持ちわたしも分かります、ホーリーラットに支配される人類の未来とか勘弁だ


「ちゅ、ちゅちゅ~」


「お姉さんに4匹目をつけようかだって~」


「気持ちだけ受け取っておくよ、自分の身は自分で守れるからさ。この町をしっかり守ってくれればいいさね、・・・他の町を守る必要はないと伝えておくれ」


「うん、分かった~。チュー太、あのねぇ~守るのはこの町だけでいいだって~」


「ちゅぅ・・・」


少し残念そうな反応だが納得してくれたようだ

一応、この町と世界の安全は守られたのかな?


「ところでセレスティーナ様、そのカッコで本部に戻るんですかい?それに調査していたここの報告はどうします?まだ調査途中ってことぐらいには出来そうですが」


5人の中で一番年上っぽい小太りのおじさんが本題に戻して尋ねている

この中のリーダー格なのかな?モブ感全開だけどよく見ると眼光は鋭いな


「セレスティーヌ」


「はい?」


「私は今日からセレスティー()です、気高く敬虔な聖女だったセレスティーナは本日、女神様の御許へと召されました。これからはセレスティーナの孫のセレスティーヌとして新たな人生を女神様とアイラ派に捧げます」


「うっわ、変わり身が早すぎですって、セレスティーナ派はどうするんですか?異端審問部の総長が不在になるんですけど!?」


「そんなこと死んだ人間に言っても知らないね、残った若い奴らでどうにかするもんだろうさ。いつまでも年寄りの威信に頼っている組織はもたないよ」


「・・・あんなに何度も引退勧告されてもかたくなに拒否していたくせに」


「はぁ!何か言ったかい?お前らには次の時代を担う覚悟ってもんがないのかい!」


「っていうか総長~、結婚してたんですか~?急にお孫さんって大丈夫です?」


「はん!セレスティーナは生涯独身だったからねぇ、結婚は今からするのさ。どうだいアスダン、魅力的なあたしと結婚したいとか思うだろ?」


「は・・・ははは、ご冗談を・・・若く美しくなられたセレスティーナ様は魅力がありすぎて私とはとても釣り合いがとれません、非常に、まことに、とても残念ですが」


アスダンと呼ばれた年長のおじさんが額から汗を流しながら笑顔で答えている


「ああ、そうかい。私もここまできたらもっと若いのがいいけどね、ふふふ、一昔前までは西の聖女セレスティーナ、東の聖女アンジェラと人気を二分してたもんさ」


セレスティーナ様が腰をくねらせてポーズをとっている


「おれもパスですね、見た目が良くても中味がこれじゃとてもとても・・ごぶぁ」


「てめぇには聞いてないんだよ!シアン!さっきからコソコソとしょうもないこと言ってるんじゃないよ、全部聞こえてるからね!」


「ぐぅ・・・若くなったら耳も良くなったんですね、総長」


「そういう訳でコスタリアの異端審問の調査は終わり、西方真理教会はアイラを正式に聖女と認め旧セレスティーナ派はアイラ派と合流。異端審問部はアスダンが総長をやりな!私の遺言だとか教会にはうまく言っておくんだね」


「うわぁ・・・それじゃ新興派閥がいきなり最大派閥になるじゃないですか、他の派閥がうるさいんじゃないですか?」


「これだけの奇跡をおこすのを見て認めないとすれば女神への冒涜だね、そんな信仰心も無い権力だの金だのとうるさい奴はいい機会だから片っ端から異端審問にかけて改心させてやりな!修行もせずに自分じゃろくに聖魔法も使えない連中さ、両手の生爪でも剥いてやれば大人しくなるだろうさ」


「くくく、それがセレスティーナ様の遺言でいいんですね。教会の腐ったウミを根こそぎ浄化してみせますよ、最近は口だけ達者で現場を知らない金の亡者が増えていましたからね。清貧と潔白をうたったマリ・ニシカタ様の時代が復活ですね」


密偵の人たちの目がぎらりと光ったように輝きを増した気がする

異世界小説あるあるの教会内部が拝金主義で腐っていたりするパターンがこちらでも少しはあるようだが、この人たちは教義に忠実なまともな側だったようだ


「枢機卿や聖女たちには私から通達しておくさね、特に大司教の奴は今の私の姿を見るだけで全てを受け入れるはずさ。私と同じで全てを持っている人間が最後に欲するのは健康と若さしかないからね」


「ははっ、全てはセレスティーナ様の御心のままに」


「セレスティーヌだよ!私はもう少しここでこの体を慣らしてから本部に戻ると伝えておくれ。アイラ派設立の正式発表のすぐに所属聖女として宣言するからね」


よく分からんがアイラお嬢様が偽聖女や背信者として糾弾されることは無さそうだ

とりあえずはお婆さんを若返らせたかいはあったということゴブな

めでたしめでたし


「という訳でもう少しここの保養所で厄介になるけど構わないよねぇ」


「も、もちろんでございます!お気の済むまでくつろいでいてください、おいしい料理とお酒、見目の良いエルフがお世話させていただきますよ」


会計士さんが目配せするとドノバンとメイヤさんが慌てて部屋を駆け出して行った


「ぐふふ、若い体に戻るのも困ったものじゃな、今ならどんなに油ののった料理もきつい酒も楽しめそうじゃわい。そして若い男の体・・・ぐひひ、楽しみじゃのう」


おい・・・さっき清貧と潔白がどうのとか言っていなかったか?

欲望丸出しじゃないか、まぁ最初から薄々分かっていたけど

じーっとお婆さん、もとい、若いセレスティーヌ様の緩んだ顔を見てみる


「なんじゃゴブリンの、言いたいことがありそうじゃな~。そもそも西方真理教会の興りは異世界から召喚されたという建国の勇者王の幼なじみであり王妃になった初代聖女のマリ・ニシカタ様が王家と決別した時に移り住んだ場所を守るために集まった聖女の追っかけが始まりじゃからな、正式な教義など最初から無いんじゃ」


「初代聖女様が王家から離れて住んだというのは常識ですが、修行のためと恵まれない民の近くにいたいという聖女様の思いがあったと歴史で学んだ気がしますが」


「実際は浮気性の幼なじみにブチ切れて縁を切ったっていうのが真実じゃな」


それはまたリアルな人間関係ですね

っていうか初代国王の異世界勇者がクズ野郎の気配がしてきたゴブ

この辺りは国の歴史や貴族たちの記録から抹消されていそうだな

いまでも魔王を退治し数あった小国を一つにまとめた英雄扱いされているし

初代聖女マリ・ニシカタ、人が集まり教会が設立されるほど当時は王家をしのぐ人気アイドルだったんだろうな

西方真理さんだったりして・・・もしやそのまま教会の名前になっているのか?

西方真理教会・・・追っかけファンが付けそうな自己主張全開な痛い系組織名称だな


「ゴブ」(真実はいつも一つ・・・歴史は勝者が作るもの・・・ゴブ)


さてと日も暮れてきたしお腹もすいたし屋敷に帰るかゴブ


~~~~~~~~

「ううう~、今日もなんだか強烈な寒気がしましたわ。なんだか急に冷え込んできたのかしら?」


「もう~お嬢様~体調はしっかり管理してくださいよ~風邪をひいて怒られるのはマリーたちなんですから~聖水風呂にでも少し長めに浸かってきてください~。どうしてもだめならとっておきの「聖水」があるんですけどね~にひひ」


教会に正式に聖女認定されたアイラお嬢様、下っ端エロ聖女認定されているマリーは今日も何も知らないまま日常が平和に過ぎていくのだった


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