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県内最凶の不良校に入学する俺、ステータス( メスガキ )が見えるようになった件  作者: クスノキ


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2/2

2 少しずつ努力が実っていく件

あの日から、俺は鍛え始めた。

どうやらポイントは簡単に手に入らないらしく、普通の努力でステータスを上げるらしい。


といっても、特別な事は何もしていない。

部屋の床で腕立て伏せをして、腹筋をして、スクワット、ランニングをするだけ。


「はぁ……はぁ……」


腕立て伏せは、十回も出来なかった。

七回目で腕が震え、八回目に床へ崩れ落ちる。

手を大に広げ、仰向けに倒れながら息を整える。


【はい終了〜♡ ひ弱くんは、限界が早いね♡】


「うるさい……」


反論する気力も無く、ただ倒れている屍のように倒れている。胸が苦しく、腕は鉛のように重い。

まさか自分がここまで体力も筋力も無いとは、思ってもいなかった。


「でも、ちゃんと意味あるんだよな?」


そう呟くと、リリス(メスガキっぽくて名付けた)

から返事が返ってくる。


【あるにはあるよ〜?ちゃ〜んと努力 (笑) すれば上がるんだよ? ま、今の全然出来てない状態じゃあ、どれだけ時間掛かるんだろうねぇ〜?】


腕立て伏せ、数回しか出来ない現状だと確かに

ステータスそこまで上げられないかも知れない。


【まあでも、一応説明してあげる♡】


【君が今やってる腕立て伏せ (笑) とかランニング (笑) みたいな努力でも、ステータスは少しずつ上がるよ〜?数回とかしか出来てないけどね〜ぷっ……ふふ】


「……笑うな」


そう言い返したものの、実際笑われても仕方ないくらいに情けないのが現状だ。


【事実でしょ? 今の君、腕立て数回が限界♡

それで強くなりたいとか、ギャグだよ〜?】


「……」


俺は重たい体を起こし、震える腕で床に手をつく。

このメスガキになんて負けてられないと思った。


「もう一回やる」


【え? まだやるの?】


リリスは困惑したのか、文字がほんの一瞬だけ止まった。


【どうせ無理だよ? でも、仕方ないから応援してあげる♡】


「うるせぇ……!」


歯を食いしばりながら、腕に力を込めて腕立てを再開始める。


一回。【ほら、ほら、頑張れ♡】


二回。 【ファイト〜♡】


三回。 【腕プルプルしてるよ〜?頑張れ〜♡】


そこから10回目で、腕に限界を迎えた。

肘が笑い、呼吸が荒く倒れ込む。


「――っ、はぁ……はぁ……」


床に額をつけたまま、荒い息を吐く。

腕は震え、指先に力が入らない。

さっきより確実に限界が深い場所まで来ているのが、自分でも分かった。


【……10回?】


「……うるせぇ」


弱々しい声を出して僅かに返事をする。

だが、心の奥で小さな達成感があった。


さっきは八回で倒れたが、今回は最初の目標だった――10回までやる事が出来た。

数回増えただけだが、それでも達成感がある。


【へぇ〜さっきより増えてんじゃん。頑張ったじゃない?】


その言葉に、思わず眉を顰める。


「珍しく素直だな」


【べ、別に褒めてないから! 事実を言っただけだし!】


急にツンデレが出てくるのは何なんだろうか……ずっとそれだったら可愛げがあるのだが。

リリスの反応に少しだけ肩の力が抜けた、その瞬間だった。


――ピコン。


━━━━━━━━━━━━━━━

《今日の努力判定》

・筋力 +0.02

・持久力 +0.03

━━━━━━━━━━━━━━━


「……増えてる」


数値は、ほんの僅か。

正直、これを見ただけで「強くなった」と胸を張れるほどじゃない。


【そりゃそうでしょ】


調子を取り戻したのかリリスの文字が、いつも通り小馬鹿にした調子で流れる。


【腕立て十回でムキムキになれるなら、世界中

マッチョだらけのキモイ世界だよ〜?♡】


「分かってるよ……」


それでも、数字が伸びたという事実が嬉しかった。

努力が無駄じゃあなく可視化されるだけで達成感があり、もっと頑張ろうと思える。


【こうやって限界まで頑張ると、ちゃんと結果出るんだよ? まだ、ざっこ♡だけどね〜♪】


「雑魚は、余計だ」


そう言い返しながら、俺はもう一度画面を見つめた。

数字だければ誤差みたいな物だが積み重なったら確実に強くなる事が出来る。


【まあまあ、褒めて上げてるんだから素直に喜びなよ♡】


「どこが褒めてるんだよ……」


【限界までやったって事は認めてあげてるでしょ?

途中で投げ出す人間、私いっちばん嫌いだし】


一瞬だけ、文字の調子が変わった気がした。

いつもの煽りじゃない、どこか本音みたいな気がした。


「……」


俺は何も言わず、天井を見上げた。

全身が痛くて、正直もう動きたくない。


けれど。


「明日も、やる」


ここで投げ出しても絶望的な未来が待っているだけだ。

なら努力して頑張って強くなった方がいい。


【ふ〜ん】


リリスの返事は、いつもより少しだけ短かった。


【三日坊主で終わらなかったら、ちょっとは見直してあげてもいいかもね、ひ弱くん♡】


「上から目線だな」


【仕様で〜す♡】


それだけ言って、画面が消え、リリスからの反応が無くなった


その日から、俺は毎日鍛えた。


腕立ては最初十回が限界だったのが、少しずつ回数が伸びる。

腹筋は途中で止まったり、ランニングは息が上がる。それでも、止めなかった。


倒れて、リリスに笑われて、それでも続ける。


数日後。


筋力は、まだ目に見えて変わるほどじゃない。

見た目も、力も、劇的な変化はない。


だが――


「……前より、息切れしにくいな」


走り終えた後、そう実感出来る程度にはなっていた。


【へぇ、ステータス伸びてちゃんと分かるようになってきたじゃん】


いつの間にか表示されていたリリスが、からかうように言う。


【それが積み重ねってやつだよ、ひ弱くん♡】


「ひ弱くん呼び、辞めて名前で呼んでくれ」


「嫌だよ〜? 今の君にピッタリだもん♡ 強くなったら考えてあげる〜♡】


相変わらずだが、不思議と最初ほど腹は立たなかった。

慣れてきたのか、それとも……


とりあえずランニングを終えて家に帰る事にした。


■■


それから数日間。


朝起きて、軽くストレッチ。

昼は飯を食って、少し休んでから走る。

夜は腕立て、腹筋、スクワット。


地味で、退屈で、誰にも褒められない努力。

だが、数字だけは嘘をつかなかった


━━━━━━━━━━━━━━━

・名前 : 鳴海 颯太

・年齢: 15歳


・筋力: 14.3 /100

・持久力: 13.8/100

・スピード: 11.6/100

・技術力: 8.8/100

・カリスマ: 6.5/100

・精神力: 27/100

・運: 5/100


・ポイント: 4

━━━━━━━━━━━━━━━


「……本当に、少しずつだな」


【当たり前でしょ〜? RPGじゃあないんだから、そんな簡単に強くなれるわけないじゃん】


リリスの言う通りか、と納得する。

簡単に強くなると、それはそれで怖いのでそういうもんかと思っておく。


「それにしても、このポイントって簡単に手に入らないって言ってたけど、どうやってゲット出来るんだ?」


俺はステータス画面の1番下の変わらない数字を見つめながら聞く。

スキル欄というのがあり、取ってみたいスキルが色々あるのだが、ポイントが貯まらなくて取得する事が出来ない。


努力で上がる数値とは明らかに扱いが違う。

筋トレやランニングをどれだけやっても、増える気配がない。


【あ〜、そこ気になっちゃった?】


リリスの声が、どこか待ってましたと言わんばかりに弾む。


【じゃあ特別に教えてあげる♡】


画面が切り替わり、説明用のウィンドウが表示された。


━━━━━━━━━━━━━━━

《ポイントについて》

・通常の努力では獲得不可

・特別な行動、結果、選択によって付与

・使用用途:ステータスの直接強化/スキル

━━━━━━━━━━━━━━━


「……特別な行動?」


【そうだよ♡ まだ詳細は秘密だけど〜頑張った人に向けてご褒美的な感じかな〜?】


俺は表示された説明文をもう一度読み返す。

『特別な行動、結果、選択』

どれも曖昧で、具体的な事は書かれてはいない。


「つまり、普通の生活してるだけじゃ増えないって事か?」


【うんうん、その認識で正解だよ♡】


リリスは楽しそうに肯定した。


「簡単に手に入らないなら慎重に使い方考えないとな」


【確かに〜使い方考えないと、後悔するかもね〜? 君にそんな冷静な頭あったなんて (笑)】


「あるわ! 」


思わず声を荒らげると、リリスは楽しそうに笑う。


【はいはい♡ 冷静な判断が出来てえらい♡えらい♡】


「ぐっ……メスガキィ……!」


漫画などでよく見るメスガキを分からせてやりたいという気持ちが今なら分かる気がする。

画面を睨んでいると、


【え〜 (笑) ひ弱くんがそんな顔しても怖くな〜い♡】


「いつか絶対、分からせてやるからな……」


【ん〜?出来ない癖に〜?口だけ番長くん♪】


完全に遊ばれている。

だが、以前ほどムカつかない自分がいるのも事実だった。


「……それより、今日はもう終わりする」


それに体は限界だし、腹も減ってきた。

風呂に入って飯を食って、早めに寝たい。


【もう終わり〜?つまんなぁーい。まだ行けるんじゃあないの〜?】


「無理しても意味が無いし、お腹空いた」


俺はスマホをポケットに突っ込み、汗を拭きながら立ち上がった。


「シャワー浴びて、コンビニ行ってくる」


【夜の外出〜? 不良デビュー?♡】


「違うわ」


シャワー浴び終わると、玄関で靴を履き、外に出る。

夜風が、火照った体に心地良かった。


だが、俺はこの時知らなかった。

すぐポイントを取得するチャンスに出会う事になる。

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