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第8話:真実の兆し
森の静寂の中、翔子は石版の角に残る微細な刻印を見つめた。
「…この小さな凹み、ただの風化じゃない」
ルーペを通して観察すると、文様の線とわずかに角度が異なり、砂文様の流れとぴったり重なる。
ロンはその隣で土の盛り上がりを指で確かめた。
「この足跡…時間差がある。誰かが意図的に置いたものだ」
翔子はメモに線を引きながら、脳内で理論と直感を照合する。
「繋がる…文献と現場、砂文様、足跡…すべて一致する」
翔子の声は、興奮と緊張で震えていた。論理と直感が初めて完全に交差した瞬間。
森の風が葉を揺らし、かすかな虫の羽音が耳に届く。
翔子は深呼吸して冷静を保つ。「でも、誰かが見ている気配がする…」
ロンは視線を森の奥に向ける。「田辺圭かもしれない。だが今は、証拠に集中する」
二人は慎重に進み、小さな石版の隅に残された矢印を確認した。
「ここが、核心に近い場所ね」翔子は小さく呟く。
ロンは頷き、「この証拠が次の手掛かりを示している。油断するな」
微細な砂文様、刻印、足跡――
すべてが絡み合い、やがて大きな真実の兆しを示していた。
森の奥、影の中で田辺圭は静かに笑みを浮かべる。
「なるほど…二人とも、面白くなってきた」
翔子はペンを握り直し、深呼吸する。
「小さな兆しでも、見逃さない。これが真実への道」




