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第1話:論より証拠

翔子は図書館の静かな空気の中で、指先に伝わる古文書のざらつきを確かめた。

ページをめくるたび、埃と紙の匂いが鼻をかすめる。文字は整然としている。論理は完璧だ。だが、心の奥で小さな違和感がくすぶった。


「文献だけじゃ、現場は分からない」


背後から声がした。ロンが肩を組んで立っていた。彼の目は冷静で、だがどこか鋭い光を帯びている。

「直感を使え。足跡や砂文様は、君の理論だけじゃ読み取れない」


翔子は唇を噛む。自分の理論が否定されたわけではない。だが、現場の証拠を軽視している気もする。


遠くの窓から日差しが差し込み、埃が光の筋となって揺れた。小さな粒子が舞い上がり、翔子の心もざわつく。

「足跡…?文様…?」


机の上のメモに目を落とすと、そこには微細な砂文様のスケッチがあった。

ロンが指でその文様を指す。「これが現場の証拠だ。理論だけで解ける謎じゃない」


その瞬間、翔子の中で何かが動いた。

理論と現場、二つの視点が衝突し、やがて絡み合う予感。


図書館の奥、影に潜む人物が静かに立ち上がる。田辺圭――この調査のライバルだ。

その瞳には挑戦の炎が灯っていた。


翔子は深呼吸し、ペンを握り直す。

「なら、現場に行くしかないわね」


ロンは小さく頷き、二人は図書館を後にした。


窓の外、遺跡の森が静かに風に揺れている。

小石の上の微かな文様が、まだ誰にも解かれぬ真実を秘めていた。


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