9-16 星影百合の秘密16
これで、もしも感動する心をよみがえらせることができれば、その時は、本物の感動して演技に向き合う意識を復活させて、本当の自分を復活させることができるかもしれない、というのである。
そして、それには、この会話劇を完璧に再現する練習は、もちろんだが、これを直接、最強の百合に見せる機会を作らなければならない。そこで、ある時、本物の百合は、最強の百合が書き留めていた100名あまりの女優のリストを見つけた。このリストは、名だたる大女優ばかり。おそらく、この女優たちに、全員何かを仕掛けたいと考えていたに違いない。そこで、そのメンバー全員を集めるという偽のイベントを企画して、そこに誘き出すことが、最後のチャンスだというのであった。
それを引き受けた麗子は、ただ、百合本人から依頼されたのではあるのだが、この奇跡のような一人芝居をやり遂げたいという、麗子自身の別の意識が生まれていたのであった。まず、もはや引退している、その際の親子役の2人を探しだし、その、一人芝居を実現したいという事情を説明した。すると、2人とも、ともに快諾してくれただけではなく、それなら、別々に行なっては意味はないと、2人揃って、麗子に直接の演技指導をしてくれた。
そして、それは、もはやある意味で、モノマネのようでもあり、そして、もはや、ただの模倣の演技の再現という域をこえていて、その感情表現の再現に至っては、特殊能力の域に達していた。そこまで行きつかなければ、感動するまでの感情表現を再現するのは、不可能に近かった。
そして、今、それを再現して、最強の百合は、それをみせられている。それは、今、麗子の【秘技 同調世界】という完璧すぎる状況からのお膳立てから始まっていた。
それで、やはり、麗子がすごかったのは、もう1人の主役である女の子の役の、まさかの演技であった。もはや、この子は、子供である状態では存在しないので、この役については、麗子自身が想像して自ら作り上げなければならなかった。それも、この両親役の2人からの合格点をもらうまでという期限つきである。
この時、麗子は、このイベントまで3ヶ月という長い期間を設けていた理由をやっと理解したのであった。
だが、麗子は、それをやり遂げ、それを、本物の星影百合復活のため、今、最強の百合に、最後の攻撃として仕掛けている。




