9-7 星影百合の秘密⑦
その生活が半年を過ぎた頃、いつものように、夜、着替えて地下室に行くと、いつのまにか寝てしまった百合は、目覚めた。あら、今日は演じることもできずに、うっかり寝てしまった。すると、もう2時間は、過ぎていて、着替えて、そのまま、床についた。
しかし、その頃から、だんだんと、夜、演じ始めると、いつの間にか寝てしまうことが多くなり、気がつくと、ちょうど、それを演じるはずだった時間、うたた寝をしており、記憶がなくなっていた。
だが、さらに不思議なことが起こってきた。それは、演じ始めて、目が覚めると、次の日の朝を迎えるようになっていたのである。それも、着替えを済ませて、いつものようにベッドに入り、朝を迎えていた。そして、それだけではなくて、夜、演じていたように思える痕跡が、地下室に残っていた。それも、自身で自らメモ書きのようなものを、その地下室に残すようになっていた。しかしながら、そのメモ書きをした記憶がない。
それからというもの、夜、着替えて演じ始めると、意識を失って、必ず朝になっており、演じた記憶はなくなっている。
そして、さらに、とんでもないことが起きていた。夜、演じたあと、目が覚めると、朝になっていたのだが、なんと、次の朝ではなくて、さらに、もう1日たった、その次の日の朝であり、つまり、夜から、次の日1日丸々記憶がなくて、その翌日になっていた。携帯電話をみると、留守番電話が入っていた。それは、当然だった。百合は、丸一日無断で仕事を休んでいたのだ。すぐに、連絡をすると、スタッフたちは、怒ってはいないが、とても心配していた。だが、このことは、言えずに、具合が悪くなって、気を失っていたと伝えて、なんとか納得してもらうと、さらに今日も休ませてほしいと伝えた。
百合は、明らかに、自分が寝ている間、誰かが部屋を使っていたあとがあることを確信した。それは、冷蔵庫の中のものが減っていたからであり、初めのうちは、誰かが入ってきたのかと思い、どこかこっそりと外から入れる可能性を調べたのだった。
だが、百合は、それから、意外なことに気づいていた。もう一度、冷蔵庫の中をよく調べてみると、自分がいつもよく食べているものが減っていたのである。紛れもなく、いつも食べているものが、同じものが同じだけなくなっている。ということは、食べたのは、百合自身であり、他のだれでもなく、自分が食べたのに、記憶がないということなのか、と思った。
そこで、その日は、とりあえず、夜は演ずるのをやめておき、数日後に、念の為に、数日休みをとり、前の夜に、リビングにビデオカメラを仕掛けて、その夜、久しぶりに演じてみた。すると、その時も演じた意識もなく、気を失ってしまい、そのまま、1日後の朝を迎えた。起きた百合は、さらに1日がすぎていたことを確認すると、リビングに仕掛けたビデオカメラの映像を見始めた。そのカメラは、リビングに人がくると、人を自動的に感知して撮影が始まるものだった。




