9-4 星影百合の秘密④
そして、いよいよ、新作映画のオーディションが始まった。この映画は、女子中学生が主人公で、クラスメイトが誘拐されて、学校では大騒ぎ。しかし、主人公は、推理ものが大好きで、様々な方法を駆使して、犯人と交渉を進める警察に協力して、とうとうクラスメイトを助け出し、さらに、犯人の逮捕までこぎつけるという破天荒な展開となる、ちょっぴりおもしろさもある、サスペンスな映画である。
この内容では、セリフも難しいものが多いし、セリフの量も半端ではない。オーディションの時のセリフもかなり難しく、非凡な内容で、多くの応募者が失敗していた。ところが、百合は、あの小学1年の時点で、強盗を、その演技力で丸め込むというすごいことをやっていたことと比べれば、あまりにも簡単すぎることであった。
そのセリフを完璧に、演技をしながらやり遂げたのを見た、審査員の映画関係者は、言葉がなかった。すると、当然、百合に質問がきて、今まで、演技の勉強とかしたことがあるの、と聞かれると、うちで真似事でよくやっていた、と、母のことはあくまでも秘密のまま、答えていった。
さすがに、合格すれば、一気に話題になる、すごい機会なので、その応募者も800人を超えていた。
しかし、もともと可愛らしくて綺麗だった百合は、小学生の頃から、すでに肌の手入れや身だしなみなどにも、こだわって、母から教わっていたこともあって、この年齢にして、すでに、そのオーラは、他の応募者とはとても比較にならなかった。
そして、その多くの応者をものともせず、一気にかけぬけていき、見事に合格し、主役を射止めたのであった。
すると、それを見ていた母、光は、喜びの表情ではあったが、特に驚くわけでもなく、当然のように受け止めていた。一方で、百合も、自信があったとはいえ、オーディションそのものが初めてなのに加えて、こんな大きなオーディションで合格は初めてなので、喜びがあふれていた。




