9-2 星影百合の秘密②
警察の取り調べ等が終わって、やっと警察から解放された親子3人は、ホッとしていた。すると、母親の光が、
「百合、あなた、とっさによくあんな芝居、よく考えたわね。なかなかの演技、とても見事な出来だったわよ。特に、あの、最後の泣くところなんて、若い俳優たちよりも、真に迫っていたわ。それにしても、あのおじさんたち、怖くなかったの?」
「そうね、別に大丈夫だったわ。それよりも、どう言い訳して助けてもらおうか考えていたのよね。ただ助けて、じゃあ、ちょっと弱いし、私が子供だから、もうじき、親が死んじゃうって言ったら、ちょっとかわいそうって思うかなって、癌で死ぬことにしたの。」
すると、父、龍太郎が言った。
「それにしても、あの演技は、どうみても、私じゃなくて、光、お前の指導だな、あの切羽詰まった感じのところの演技は、お前のくせが同じにでている、誰が教えたかすぐにわかったぞ。お前は、私に隠れて、百合に役者の勉強を教えていたんだな!そうだろう!」
すると、すぐに光は、夫に反論した。
「そうよ。だって、あなたは、百合が演技の素質があるにもかかわらず、娘だからって、全く教えてあげないでしょ。だから、私が教えてきたのよ。でも、百合だって、教えてもらって、喜んでいたわよ。」
「私は、だな。本当は、生まれてくる息子を立派な俳優にしたかったんだ。それをお前が、女なんか産むから、私の計画はめちゃくちゃになったんだ。だから、教えないのは、当たり前だろ。」
「そんなこと、聞いて知ってたわよ。百合が産まれたことを、昔から喜んでいないものね、あなたって。」
「そうじゃない。父親としては、喜んでいたさ。だけど、役者としては、ガッカリさ。」
「いいえ!あなたは、百合のこと、男性の俳優になれないことを、ずっと悔しくて悔しくて仕方なかったのよ。私には、わかっていたのよ。」
「何を言う!別に、男じゃないから教えないとか、そういうことじゃない。お前になんか、この私の気持ちがわかってたまるか!いいさ、もう別れようじゃないか。こんな、娘なんか、お前にくれてやるさ。そうしたら、おれは、別の女と結婚して、こんどこそ息子を産んでもらうからな!」
「よくも、そんなことが言えたわね。ああ、いいわ。離婚しようじゃないの。百合だって、あなたが父親じゃ、顔も見たくないわよ。」
すると、百合は、あわてて、2人の間に入った。
「ちょ、ちょっと待って。勝手に離婚とか言い出して、どうしたのよ、2人とも冷静になってよ。」
もはや、今まで気のあったことのない夫婦が、これまでになく、ピッタリと気があった瞬間であった。
すると、2人とも、
「いいや、もうこれ以上は、我慢できないな。」
「私もよ、百合、お父さんとお母さん、離婚するからね!あなた!いいわよね!」
「ああ!これが潮時だな!百合は、お前にくれてやるよ!」
「当たり前でしょ!あなた、百合が嫌いなんだから!」
ああ、とうとう、お父さんとお母さんは、別れちゃうの。
ふーうっ。まあ、しょうがないか、、、、。
その後、離婚までの手続きとか、とんとん拍子に進んで、この豪邸は、お母さんのものになった。お父さんは、都内にも、仕事のために、もう一つ家があったので、そこに住むことになり、嬉しそうに出て行った。まあ、うちは、夫婦揃って相当に稼いできたから、お金には全く困らないから、それにお父さんは、まだまだ現役の大御所俳優だしね。




