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9-1 星影百合の秘密①

 だが、奇才塾の最後の塾生であるサリーが敗れてしまった今、招き入れた5人の少女たちは、もはや、1人も残っていなかった。星影百合ほしかげゆりの目指した計画も、予定とは外れ、ついに、一気に最後の計画へと歩を進めるため、準備を始めるのだった。


 しかしながら、元々は、女優として、その才能を世間から認められ、大活躍した、そんな華やかな時代が彼女にもあった。


 星影龍太郎ほしかげりゅうたろうは、芸能界では知らない者がいない名優であった。彼の妻は、同じく、大女優とうたわれた元女優である、芸名、香月光こうづきひかり、本名、星影 ひかりであり、龍太郎と結婚を機に引退していた。そこに、生まれた1人娘の百合ゆりであった。龍太郎は、自分の演技力や様々な俳優としてのテクニックなどを生まれてくる息子に、どうしても受け継がせたいと楽しみにしていたのだが、よりによって、生まれてきたのは、百合という女の子であった。


 あまりにも、自分の期待と違っていた、女の子の出産に戸惑い、子供にも、妻、ひかりにも強く当たった。それは、名優としてこれまでやってきたことを、同じく息子に継がせたいという想いを砕かれた辛さからであった。それを日々、同様に辛い想いをしていた、妻、ひかりは、百合が幼い頃から、女優としての非凡なる才能を見出していたので、まだ文字も読めない頃から、夫、龍太郎にかくれて、少しずつ百合に女優となれるべく、指導を行なってきた。


すると、小学校に上がってから、学校から、帰った百合。


すると、家に入ろうとすると、いつも聞こえる両親の声が聞こえない。


「ただいまーっ!」


あれっ?返事がないけど、誰もいないの?


 そして、ゆっくりと、家に入っていくと、リビングには、ソファに座って、なぜか動けない両親が見えた。


 あれ、おかしいな、そして、お母さん、と声をかけようと、部屋に一歩進んでみると、なんと、2人組の強盗がいたのだった。


すると、その1人が、


「なんだ、娘がいたのか。お嬢ちゃん、騒ぐなよ。騒いだら、3人で、親子揃って仲良くあの世行きだぜ。」


すると、母、ひかりは、


「百合、静かにして、お母さんの隣りに座りなさい。」


「うん、わかった。」


よく見ると、すでに、両親は、手足を縛られており、強盗の1人は銃を突きつけていた。


すると、もう1人の強盗が、百合を縛りながら、


「お前、そこで3人が動かないように見張ってろ。おれは、金目のものを探してくる。」


「おう、頼んだぜ。」


すると、百合は、ちょっと考えていた。すると、


「おじさんたち!ちょっと待って!」


2人組の強盗は、百合の思わぬ呼びかけに振り返った。


「なんだと!しゃべるんじゃない!静かにしてろ!子供でも許さないぞ!」


すると、父、龍太郎も、


「百合、もうやめておけ。とにかく逆らうんじゃない。」


それを見た百合は、急に表情を変えて、涙目になって、


「おじさんたち、お願い、ちょっとだけ聞いてください。私はまだ小学一年生だけど、お父さんとお母さんは、本当に素晴らしい人たちなんです。二人とも有名な俳優で、みんなに笑顔を届けるのが仕事なの。でも、おじさんたちが知らないことがあるんです。


 実は、両親ともに病気で、もう長く生きられないんです。お医者さんからは、余命が1年しかないって言われました。私はその話を聞いたとき、悲しくて胸が張り裂けそうになりました。毎日一生懸命笑って過ごしているけれど、本当はいつも怖くて、悲しい気持ちでいっぱいなんです。」


 2人の強盗の様子を見ながら話していると、さっきとは違って、百合の話しを聞いている。それをみて、驚く両親の2人。


よし、これで話しを続けて、こちらに引き込むわ。


「でも、それでもお父さんとお母さんは、私に勇気を持って生きることを教えてくれました。『どんなに辛くても、笑顔でいればきっと良いことがある』って。


 だから、今日、こうして強盗に襲われるなんて、あまりにも酷すぎます。病気と戦っている両親が、最後の時間を穏やかに過ごせるようにしてあげたいんです。おじさんたち、お願いです。どうか、どうか私たちを、助けてください。私にはもう、お父さんとお母さんしかいないんです。


 私はまだ小さいけれど、強く生きていくと決めています。でも、そのためにはお父さんとお母さんが必要なんです。どうか、このお願いを聞き入れてくれませんか?私たちを助けてくれたら、おじさんたちのことを一生忘れません。本当にお願いします。」


 それを聞いていた2人組、ちょっと、百合の話しを聞いて、もらい泣きをしつつ、感動しているようだ。すると、それを見たは百合は、もうちょっとだわ、と思いつつ、


「おじさん、おねがいよーっ!」


ここで、ちょっとダメ押しよ!


それをみて、2人組は、さらに涙目になってしまった。


「お嬢ちゃん!君は、なんて、親想いのいい子なんだ。おじさん、ちょっと感動しちゃったよ。わかった、今日は、やめておこう。これでおじさんたちは、帰ることにするよ。」


そう言うと、2人は、ゆっくりと帰っていった。それを見送る百合。家から、出た途端、


「お母さん、電話して!110番よ、早く!今なら捕まるわ!」


 すると、電話して、すぐにパトカーがやってきて、2人組は、あっという間に、逮捕されてしまった。



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