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8-1 大女優、美礼多恵子(みれいたえこ)の逆襲①

「なんですって!私が、アオデミー賞の主演女優賞じゃないなんて、信じられないわ。それも、美礼多恵子みれいたえこですって。あんなピークも、とうに過ぎたおばさんが、なんであんな人が獲れるのよ。20代の頃ならいざ知らず、もはや、その美貌も衰えて、その演技力も衰退していた、あんな人に、私の、この演技力にかなうわけなどないのよ。」


 すると、会場に現れた、美礼多恵子みれいたえこは、ここ近年にはなく、若々しくなって輝いていた。それは、確かに、数年ぶりに表にでてきた彼女とは、とても思えず、たしかに、年齢的には、中年をすぎてはいたが、別人のように輝いていたのである。


 やがて、授賞式が終わり、悔しくてたまらず、居ても立っても居られないサリーは、その夜、美礼多恵子みれいたえこの、その主演作「美礼多恵子みれいたえこ・その女優愛」を自宅でビデオ鑑賞した。


 だが、それは、サリーに、衝撃を与えた。それは、これまで観てきた美礼多恵子みれいたえこではなかった。美礼多恵子みれいたえこは、この作品で、10代の頃、女優として、デビューをして、これまでの半生を、なんと若い頃からを代役なしで、全編1人で演じ遂げ、そのベテランの実力を見せつけ、多くの人々に感動を与えたのであった。


 本人そのものの美容法などの自分磨きもさることながら、かつての飛ぶ鳥を落とす勢いのあった若い頃を思わせる、いや、それ以上の美しさにも、そして、見事な演技力と、存在感が、圧倒的に画面に冴え渡る。


 サリーは、悔しかった。ここまで、自分を取り戻し、それ以上に、その魅力を見せつける存在感が、50代も半ばを過ぎて、引退を決意した人ができることだろうか。果たして、自分だったら、その年齢を迎えて、そこまでのことが、自分にできるだろうかと自問自答していた。


 それについては、麗子も、美礼多恵子みれいたえこのことは、往年の大女優とまでうたわれていての、ここにきて、ラストシネマでの快挙に拍手を惜しまなかった。そして、受賞式は、作品賞も「美礼多恵子みれいたえこ・その女優愛」が受賞していたのであった。それは、作品としての出来は、もちろんだが、サスペンス的な「運命の時間」よりも、感動的な作品である「美礼多恵子みれいたえこ・その女優愛」の方が、賞取りには、圧倒的に有利なのであった。


すると、サリーは、


「自分を印象づけるために、デビュー作を、「運命の時間」にしたことが裏目にでたわ。アオデミー賞の授賞には、感動作が有利に決まってるじゃない。やられたわ。」


 そして、サリーは、自ら編み出した【奥義 感情烈火弾かんじょうれっかだん】のような変化球に頼ることなく、このように、全身全霊で、ストレートに、その演技力と魅力を、さらに高いレベルで発信できる女優となることを心に誓い、日本を後にするのであった。




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