7-3 映画「運命の時間」③
それは、姉妹の母親が以前、交通事故に遭って、足が不自由になってしまった。そこで、その日に戻り、事故から救おうというのである。
それを聞いて、驚く明日香、
「そんなこと、できるわけないじゃない。無理に決まってるわ。」
しかし、佳奈は、引き下がらない!
「お姉さん、これは、やってみなければわからないわ。できなくて、もともとよ。もしもできれば、こんなに素晴らしいことはないわ。そうでしょう。」
そこに、急に話しに加わる球児、
「たしかに、それは、可能性があるね。ただ、それには、タイムパラドックスというのが、起こると言われているから、その結果どうなるのかは、ちょっとわからないな。もしかしたら、できるかも知れないけど、危険も伴いそうだな。僕は、ちょっと怖いよ。佳奈は、よく、そんなこと思いついたね。なんだか、別の意味で恐怖を感じるよ。」
タイムパラドックスとは、過去を変えると、その影響で未来にも影響が起こるというものであるが、その中にも矛盾が生じてしまうというものである。
すると、姉の明日香は、とても控えめな性格であり、その気弱な性格の姉を、本来なら強気のサリーが、信じられないほど、上手く演じていた。麗子は、それをみて、サリーの、その演技の上達ぶりに驚きを隠せなかった。
「ねえ、佳奈。私、そんな怖いこと、とてもやる気にならないわ。それって、映画の中の話しでしょう。」
麗子は、その後も、サリーの本来の激しい性格である姿を知りつつ、その真逆の演技力に驚きを隠せない。しかしながら、一方で、勝気な妹、佳奈を、見事に麗子は演じていたことを、サリーも、実は感心していたのだが、あくまでも、自分の方が上だと自分に言い聞かせていた。そして、これは、負け惜しみでも何でもないと、その後の演技には、強気にでていたのであった。
「あら、お姉さんたら、もうこんなチャンスは、めったにないのよ。やるしかないじゃない。私に、すべてまかせて。」
麗子も、強気に出る役が、静かな本人とは思えない演技で、サリーの自慢の鼻をへし折るような気さえ感じさせていた。しかも、この作品は、このあと、様々な予想できない展開が続き、感情が激しくなるシーンが多いことが、さらに、2人を高揚させていたのであった。




