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1 -6 奇才塾の天才女優⑥

「麗子はね。【秘技 同調連鎖】を使ったのよ。脱走を止める3人をみていて、実は、本当は、亜弓だけが行かせてあげたい、って気持ちだった。麗子は、その気持ちを、あとの2人に、同調させて、3人共、行かせてあげたい気持ちにしたのよ。


 それに、これは、まだ講義だけで、実践指導していないから、できるはずないけど、麗子はね、ぶっつけ本番で見事にやり遂げたのよ。ただ、完全に習得したわけじゃないから、門から出たあたりで、すぐに効き目が切れたんだわ。しかし、見よう見まねでやって、たまたまできたんだわ。」 


すると、あやめから、

「だけど、私たち、そんなこと、仕掛けられたのは、わからなかったです。仕掛けられた覚えはないんです。」

「それはそうよ。秘技というものはね、できる者でしか、仕掛けられてもわからないのよ。だから、あなたたちは、仕掛けられても、まだ絶対にわからないのよ。だけど、講義だけで成し遂げたなんて、偶然にしては、とんでもないことよ。麗子、さすがに、ここにいる5人の中でも成績が上位だっただけのことはあるわ。

 だけど、ここに来たばかりの時から、似たようなことが少しは、できていたから、あの子なら、不思議でもなんでもないわ。」


「それは、どういうことですか。」


「そうね。言わないでおこうと思ってたけど、あなたたちが入ってきたばかりの時、単語感情表現の「うれしい」をやったわよね。その時、いくらやっても、亜弓だけが、それができなかった。それで、麗子がかわいそうになって、できた人のそれまでの経緯の波動を、まとめて、亜弓に送り込んだことがあったの。それによって、亜弓は、初めてできたのね。この時、麗子が波動を送ったのって、本当に、【秘技 同調連鎖】によくにていたのよ。もちろん、それは、荒削りなものだったし、効き目も長くはなかったのよ。でも、その時は、何も基礎もできていないし、誰からも教わらずにそこまで成し遂げたのは、素晴らしかった。そして、それだけをきっかけにして、その後を乗り切っていった亜弓も素晴らしかったけどね。だから、麗子は、もう最初からちょっと違うのよ。」


 それを聞いて、亜弓は今更ながら自分が情けなかった。卒業が近い今では、かなり皆と近いレベルまできてはいるが、ぜひとも、この上を目指したいと本気で思うのだった。そして、主技に相談するのだった。


「主技、私、どうしても自分がやることに自信が持てないんです。何をやっても、どうせ上手くいかないとか、私なんて、やるだけ無駄なんだわ、きっと、とか思ってしまうんです。だけど、女優には、どうしてもなりたいんです。これまで、絶対できないとか、ダメだと思いながらでも、こんなにやって来られたのは、この女優だけなんです。それで、たとえば、大女優になるとか、そんなことでなくてもいいの。ほんの脇役のような小さな役でも構わないので、女優になりたいんです。女優を一生の仕事にしていきたいんです。」 


すると、主技は、

「実はね、亜弓。あなたって、本当は、女優として、才能があると思うのよ。持っている才能は、今いる5人のうち、実は、麗子の次、ライラと並んで、全員の2番目くらいなんだと思う。あなたって、5人の中で、何でもできない、できないって言われながら、結局はビリでも、挫折しないで、ぜんぶこなして、ここまできているじゃない。ただ、あなたが自信さえ持てたら、麗子を超えることだって、もしかしたら、そんなこともあるかもしれないの。あなたにとって、その自信って、ものすごく大きなものなのよ。あなたの中にある才能。それは、きっと私でも本当は、わからないものなのかもしれないわ。ただ、あなたは、スロースターターだから、誰よりも遅くなってしまうけれど、そのままでも、あきらめなければ、きっと大丈夫よ。決して、あきらめないで頑張るのよ。いつか、自信を持てる時がくるわ。とにかく、自信を持てるようになることね。」


「ありがとうございます。焦らずに、あきらめないで、頑張ります。」

「そうよ。あなたは、決してあきらめなければ、きっと、女優になれる時が必ずくるわ。だって、あなただって、私が、その素質を発見した1人なんですもの。」

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