表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/57

6-1 最強のライバル、久条沙衣莉(くじょうさいり)①

 一方で、進藤麗子は、映画「少女歌人の恋」のオーディションに落ちたあと、その後、緑川あやめと吹雪ふぶきすずめが、いなくなり、行方不明になっていた。


 その後、星影百合ほしかげゆりも、緑川あやめと、吹雪ふぶきすずめの2人からは、何の連絡もなく、少しイラだっていた。


そして、ようやく、あやめからの連絡に、


「あやめ、やっと連絡きたわね。あなたたち、どういうつもり!!あれから、2人とも何の連絡もなかったのは、いったいどういうわけ?」

「すみません。実は、2人して失敗してしまって、麗子を引退には追い込められなかったんです。」

「あなたたち、2人してかかって、麗子を倒せないなんて、情けないわ。戻ってきたら、気合いを入れ直すからね。」


すると、2人とも、言いにくそうにしている。

「主技、私たち、、、実は、今まで、主技にはとてもお世話になってきたんですが、なんだか、とても、悪いことをしてきたんじゃないかと、そう思うようになってきたんです。」

「なんですって!あなたたち、いったい!どうしたの?!」

「今まで、色々とお世話になりましたけど、奇才塾を卒業前ですが、これからは、2人とも、自分たちだけで、女優としてやっていきます。ありがとうございました。」


そういうと、連絡は、プツッと切れた。

「なんですって!」


2人からの、あまりにも、突然の申し出に驚きをかくせない百合。


すると、ハッと何かに気づいた百合。


 まさか、これは、【秘技 思想転送】から覚めてしまったとしか考えられない。しかし、あれだけ、深く染みついてしまった効果がなくなるなんて、信じられないわ。あれは、人格に影響するほどの究極の奥義なはず。2人から、なくなってしまったなんて、とても考えられない。麗子が、ここを去ったのも、あの秘技の効果に気づいたせいなのはわかってるわ。


 もはや、荒玉亜弓あらたまあゆみも、知らないうちに失踪してしまった今、とうとう、残る塾生は、主技にとって、最終兵器とも言える、久条沙衣莉くじょうさいりのみとなった。


 今度は、サリーが行くから、待ってなさいよ、麗子。サリーは、そうは簡単にはいかないわよ、覚悟するのね。


 星影百合ほしかげゆりは、これで5人の塾生のうち、すでに4人を失って、最後の1人、サリーこと、久条沙衣莉くじょうさいりを送り出していた。塾内では、麗子とほぼ同列でトップ争いにいたサリーだが、途中で去って行った麗子に対して、すべてのカリキュラムをすべて終わらせていたサリーは、【真意法秘密演技】である、【超演技ちょうえんぎ】と【闇演技やみえんぎ】の両方をすべてマスターしていた。


 そして、いよいよ、次期の映画の賞取りに向けて、サリーは、発動していた。


 今年、最大の話題作とも言える衝撃の作品「運命の時間」に、主役の女優を1人と、順主役の女優を1人、それぞれ、女優を2人、オーディションにより募集していた。


 麗子は、前回のアオデミー賞、主演女優賞受賞によって、その期待も大きく、応募が決まっていた。すると、そこに、応募してきた、新人女優、それが、サリーこと、久条沙衣莉くじょうさいりであった。


 麗子は、サリーが、自分と同等か、それ以上の実力を持っていることを知る上に、あやめとすずめの2人から、サリーは、【真意法秘密演技】をすべてマスターしているから、要注意と聞いていたのであった。


 すると、オーディション当日がやってきた。サプライズプロダクションの社長は、前回、麗子が、並いる女優たちをものともせず、圧倒的な投票数により、主演女優賞を受賞したことで、まさに大船に乗った気でいた。


 だが、すべてを知るマネージャーの万根田まねだは、前回、謎の少女が代役をしていた真相を知るだけに、不安は拭いきれなかった。前回の演技力が、本人のものでなく、その期待が、大きすぎることと、今回の評価が下がるのではないかと、そのオーディションの評価が、怖くて仕方ないのであった。


 そこにやってきた新人であるサリーは、これが、初めてのオーディションであり、ここまで、5,000人の応募者からの書類審査と、ここまでの数回の予選により、この当日を迎えた50人に、麗子とサリーは、残っていたのであった。


 久しぶりに再会した、麗子とサリー。


「久しぶりね、麗子。」

「本当に、久しぶりよ、サリー。あなた、まさかの【真意法秘密演技】をすべて、マスターしたんですってね。あの2人から、聞いているわ。サリーがきたら、それには、気をつけてって、聞いてるわよ。」

「ああ、そのことね、そのことはね、ちょっとだけ、情報が違うわよ。」

「それは、どういうこと?」


 それは、最後に、星影百合ほしかげゆりが、サリーを送り出していった日のことであった。百合からは、期待をこめて、彼女を送り出していた。


「サリー、あなたなら、以前は、麗子とは、同レベルだったけど、この1年で、【真意法秘密演技】をすべてマスターできたから、もはや、麗子を超えていることは間違いない。あなたなら、それを駆使したら、麗子を蹴落として、すべてにおいて上回れると思う。麗子を引退させて、必ずトップにのし上がるのよ。」


 それを聞いて、サリーは、意外な返答をするのであった。


「主技、いいえ、星影百合ほしかげゆりさん、もう、これからは、この呼び方でいいわよね。」


その意外な返答に、驚く百合。


「私はね。これまで、我慢してあなたの言いなりになってきたわ。1年前から、【真意法秘密演技】の講義が始まり出して、あなたは、【秘技 思想転送】を、私たち5人に、毎回、講義の始めに仕掛けて、さらに洗脳してきたわね。しかしね、この私が、そんなことで、従うわけはないわ。でも、麗子には、早くからバレてしまった。


 だから、あの子だけ、逃げ出したのは、よくわかるわ。でも、他の4人は、逃げなかった。もうとっくに、術中にはまってしまったからね。でもね、実は、私もはまったふりをしてきたのよ。なぜ、大丈夫だったのか、知りたいでしょう。もう百合さんも、私のこと、わかっているかもしれないけど、私もね、あの時点で、麗子と同様に、秘技が少しは使えたのよ。だから、【秘技 思想転送】が仕掛けられていたことは、わかっていたわ。それに、それを避けられるすべも、すでにできるようになっていた。まあ、そこだけは、麗子以上に、すでに、その力があったからね。だから、秘技にはかからなかったのよ。それに、【真意法秘密演技】は、すべてマスターしたいという強い気持ちがあったからね。これは、絶対に自分に大きなプラスとなると信じていたから、我慢をして、最後までやり遂げた。


 それにね、そもそも、私は、人のいいなりになるのが、大っ嫌いなのよ。だから、今回、ここにきたのも、よほどの決意が必要だったわ。これまで、幼い時から、小学生になっても、本当に人の言うことを聞かない子供だったわ。でもね、それでも、なんでも天才的にできたからね、文句言う人なんていなかった。


 それで、今日、いよいよ、麗子と対決するために、ここを出て行くことには間違いはないわ。でもね、その目的は、百合さんが思っているのとは、少しばかり違うのよ。」


「何!いったい、何が違うというの?!」


「私はね。【真意法秘密演技】の【闇演技やみえんぎ】は、もちろん、すべてマスターしたわ。でもね、それは一切使わない。だって、あれは、相手を蹴落として、自分が上に上がるために必要なことでしょう。そんなこと、自分の演技に自信のない弱者のやることよ。


 相手を低めて、人よりも上がりたいなんて、とんでもない。私のプライドが許さないわ。私は、そんな卑怯なことなんて、絶対にやらないわ。自身の才能を信じて、上がっていく私には、いらないことよ。だけど、【闇演技やみえんぎ】を学ぶことは、とても自分のためになったわ。人から学ぶなんて、こんなにくやしいことを、ここまで、我慢しただけのことはあったのよ。


 百合さん、こんなこというのは、とても悔しいけど、あなたには、感謝してるわ。私が、こんなこと言うなんてね、初めてじゃないかしら。そこだけは、この5年で、少しは変わったかもしれないわ。


 だけど、麗子には、自分の演技力で、必ず上回ってみせるわ。【闇演技やみえんぎ】なんて、人を低めることなんてしなくてもね。正々堂々と、勝負して、そして、勝利してみせる。だから、百合さんとは、これで、お別れよ。色々とありがとう。一応、お礼だけは言っておくわ。」


「サリー、あなたの強さと、負けず嫌いは、ここに来る前と変わってないわね。まあ、いいわ。でも、まだ、私には、やることが残っている。だけど、最後に一言だけ言っておくわ。あなた、必ず、麗子を潰して、彼女を超えるのよ。いいえ、もうとっくに超えているはずよ。まだ、あなたには、その自覚がないだけよ。わかったら、じゃあね。もう、行きなさい。」


 もはや、止めても、やめさせても、言うとおりにさせようとしても、サリーは、決して聴く耳を持たない。それは、出会った時から、その強さは、変わらないからであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ