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5-21 映画「少女歌人の恋」21

すると、監督から、


「、、これは、また、すばらしかった、、。」


「ソフィアさん、今、詠みあげられた和歌は、あなたが秘流の伝承者としての力で、過去の歌人と融合して詠みあげたオリジナルなのね。」


すると、ソフィアから、

「その通りです。よく分かりましたね。私は、2回目の和歌の詠みあげが終わっても、しばらく解説などをせずに、監督の反応を見たかったのです。ということは、なぜ私が2回演技をして、和歌を変えた意味がお分かりですか。」


「1回目の和歌は、六歌仙の歌人が過去に詠んだものを今の小野 おのゆうの心情に近いものを選び出して、詠みあげたのよね。

 そして、今の2回目の和歌は、まさに、小野 おのゆう本人が、今の自分の感情を素直に詠んだ和歌なのね。これは、どちらも素晴らしくて、どちらかにするとは、とても決めかねるわ。」


すると、しばらく、考え込む監督、

「そうね。この作品のことを考えてみれば、小野 おのゆう本人が、この中で、自身の気持ちを和歌にして、表わすという流れからいえば、2回目の、あなたが伝承者、秘流として、過去の歌人と融合して詠みあげる和歌の方が、この物語の流れには、より自然かと思います。やはり、小野 おのゆう自身の気持ちを表しているのですからね。もちろん、六歌仙の歌人たちの和歌もすばらしいのだけれど。」


 それを聞いて、ソフィアもやはり、同じ思いであった。六歌仙の和歌は、これほどまで、心に染みる深い和歌は他にはありえない。しかし、これは、あくまでも、1つの物語を辿っていく中で、主人公が体験した出来事に対して、その気持ちを表わすための和歌である。そこには、体験する者が、詠み人であることは、なによりも必要なことではなかろうか。大門監督も、その点を特に重視したいと、やはり、ソフィア同様に、2回目の和歌を選んでいたのであった。


 すると、そこには、まさに、「六歌仙」からの秘流としての力の、初のお披露目を祝うような喜びの感情が、ソフィアの心に触れていった。途端に、ソフィアの頬をつたう一筋の涙。


 すると、その時、心の中に湧き上がった1つの気持ち、それは、また六歌仙のうちの誰かの気持ちであった。


 この新たなる世に、和歌を継承するためには、過去からの我らの歌のみを伝えるのではなく、時代背景に添いながら、新しき歌を生み出すことで、この時代の者たちに、歌の素晴らしさを浸透させること、これは、まさに、新たな伝承者としての役目ではなかろうか。ここまで、長かった時を経て、今こそ迎えた新たなる伝承者、秘流に、皆、期待しております。


 そのような気持ちが、ソフィアの心に湧き上がり、ソフィアの目には、感謝の涙が光った。


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