1 -5 奇才塾の天才女優⑤
次の日、戻ってきた主技は、麗子がいないことに気づいて、皆を集めた。すると、あやめが、
「主技、実は、昨日、麗子が脱走してしまったんです。」
「なんですって!あれだけ、全員揃って卒業させるって言ったじゃない。それに、宿舎からは、簡単には出られないし、外まで行っても、誰かが外に出たら、誰かしら気づくでしょう。門だって、1人じゃ開けるのは難しいわ。まさか、逃したんじゃないわよね。」
すると、すずめが、
「私、麗子を止めたんです。主技が全員揃って卒業させるから、絶対に行かせないって言って、皆で止めたんですよ。」
「えっ、それは、おかしいじゃない。皆で止めたなら、なぜ出ていったの。ねえ、皆って誰?」
「私と、あやめと、亜弓の3人です。3人で、絶対に脱走は許さないって、止めたんですよ。本当です。」
「話しがよくわからないわ。じゃあ、麗子は、どうやって脱走したのよ。」
すると、3人とも、困った顔で、
「それが、、、それが、あんなに許さないって言っていたのに、いつのまにか、なんか出ていきたい気持ちが理解できてきたような気がして、3人で門を開けて、麗子をだしてあげてしまったんです。そして、出してあげて、門を閉めたあと、しばらくして、あれっ、やっぱり出すんじゃなかった、って気がついたんですけど、もう麗子は、行ってしまったんです。本当なんです。これって、変ですよね、でも、本当なんです。私たち、ウソはついてません。なんだか、よくわからないんですが、、、、。」
「なんですって!」
主技は、それを聞いて、ハッとした。
「すずめ、あなたたち、3人って言ったわよね。亜弓もいたのね。そうよね。」
「そうです。私とあやめと亜弓の3人です。」
「わかったわ。亜弓を呼んできて。」
すると、呼ばれた亜弓は、
「主技、ごめんなさい、3人で、麗子を逃がしてしまったんです。」
「亜弓、ちょっと聞きたいんだけど、正直に答えてちょうだい。怒らないから、正直に言ってね。」
「はい、なんですか。」
「亜弓、あなたね。3人で麗子を止めてた時のあなたの気持ちを聞かせてちょうだい。あなた、麗子と友達だわね、とても、仲がよかったわよね。それで、少しでも逃がしてあげたいって思っていなかった?」
「それは、もう私、麗子と離れるのは嫌だったけど、そんなに行きたいなら、行かせてあげたいな、って、そんな気持ちになってました。」
それを聞いて、驚く主技、
「やっぱりね!あなたたち、3人共、麗子にやられたのよ。もうあなたたち3人を責めても仕方ないわ。」
3人も驚いて、訳がわからない。




