5-14 映画「少女歌人の恋」14
それは、今から、2年ほど前のことになる。モデルを経て、女優と言語学者としての両輪で多忙になりつつあった。そして、ちょうど、日本語研究の中、少し前に、日本の和歌に魅せられたソフィアは、時々、京都を訪れていた。その時も、様々な古書を扱っていた古書店をいつものように巡っていた。
すると訪れたことのない、小さな店をみつけた。そこは、店の規模こそ小さいが、とても歴史は古く、これまで目にしたことのない古書が、数多く置いてあった。その中に、一冊の謎めいた古写本と出会う。その名は、「秘流伝承ノ書」とあった。そして、思わず、1ページ目をめくろうとすると、それ以上は、開かない。なぜ?と思い、よく見ると、不思議なことに、その書物は開いて、すぐに見られるような作りにはなっていなかったのである。
すると、それをみた店主が、
「あっ、そこのお姉さん。なかなかお目が高いね。それは、すごい古くて、とても価値のあるものなんだけど、書と書いてあるのに、なんか書物のような開けて見られるような作りには、なってないんだよ。中が見られないなんて、変な本だよな。だけど、何か、秘密があるらしいよ。」
そして、なぜか、とてもその書に興味を持ったソフィアは、高価にもかかわらず、その書を購入した。
自宅に戻ると、思わず、その書を取り出して、隅々まで見ていたが、とても開けられない。かといって、どこかから、破ったら、それで見られるようではなかった。とりあえず、焦らずに、開け方を見ていこうと思って、今は、開けるのを諦めて、日課にしている和歌の詠みあげを、一首行なった。和歌の詠み上げをすると、その深い言葉に、心が洗われて、なんとも言えない法悦状態になるソフィアは、もはや、人が普通に詠み上げをするレベルを遥かに超えていた。
いつもの日課の、和歌の詠み上げが終わると、再び、先程の書を、手に取ると、その表紙には、先程までなかった文章が、かすかに浮かび上がっていた。よほど目を凝らして見なければ、読むことができないほど、薄く書いてある。
ソフィアは、光りを当てたり、色々な角度から見直したりして、それを、別の紙に書き写し、やっと読めるような状態になった。
そこには、
「この書を開く者は、和歌の言霊を真に知る者に限らる。技と心、知と声をもって歌を照らせ。」
とあった。ソフィアが、それを詠んだ途端に、その表紙がめくれそうな状態になり、よくみると、その表紙は、1ページ目らしき状態になっていた。ゆっくりとめくってみると、そこには、「六歌仙」の名が全員記されており、名前の下には、血判が押されていた。
六歌仙とは、平安時代に活躍した多くの歌人たちの中で 、特に活躍した、僧正遍昭、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、小野小町、大伴黒主の6人であり、彼らの歌は、延喜5年(905年)に編集された古今和歌集に多数の歌を収集されており、古今和歌集冒頭の「仮名序」において、撰者の1人・紀貫之より「近き世にその名聞こえたる人」と紹介されている。
その横には、伝承者とあり、その下は空欄となっていた。
すると、そのまま、2ページ目へとめくれそうな作りと変わっていた。そして、2ページ目をめくった、そこには、以下のような内容が、古語で書かれていた。




