5- 3 映画「少女歌人の恋」 ③
そして、いよいよ、オーディション当日を迎え、大門監督の作品ということで、なんと、応募者10,000人の中から書類審査に通った100人の応募者がいて、プロの俳優まで大勢きていた。麗子も、その100人の中に残ったのだが、さすがに、ここには、かなり有名な女優たちもきていた。待合室では、皆、審査員に大門監督が来ていると聞いて、それだけで、緊張が高まっていた。皆、口々に、様々な思いを口にしていた。
「ああ、緊張するわ。私も多くのオーディション受けたけど、ここまで緊張するのは初めてよ。」
「あら、私だってそうよ。大門監督の映画のオーディションだなんて、緊張しない人の方が珍しいわ。だけど、こんなに応募者が多いなんて、有名な俳優もだいぶ来てるし、もう不合格間違いないって感じね。」
「あら、ねえねえ、あの子みて、ハーフじゃない。さすがに、時代劇なのに、ハーフって、よく参加したわね。最初から、無理に決まってるじゃない。何考えてるのかしらね。」
「ただの興味本位じゃないの。たとえば、本物の大門監督を見たかったとか。」
「ああ、そうね。監督に会えるだけでも、来た甲斐があるものね。」
麗子も、かつてないオーディションにやはり、緊張がかくせなかった。
いよいよ、オーディションの時間を迎えたが、係りの女性から、参加者にお知らせがあった。
「それでは、これより、大門美代子監督作品、「少女歌人の恋」の主演女優オーディションを始めますが、オーディション会場は、この隣りにあるホールとなります。そして、全員、入場して、指定の席についたら、開始となり、1人ずつ、番号と名前を呼ばれたら、舞台に上がって下さい。他の参加者全員が、みている前で、審査員からの指示通りにしてください。終わったら、自席に戻って、最後までお待ち下さい。以上です。それでは、会場への移動をお願いします。」
なんと、全員が見ている前で、質問に答えて、演技をしなければならない。それを聞いて、全員、さらに緊張が走った。麗子も、さすがに、99人の前で演技をするオーディションなんて初めてなので驚きをかくせない。その状況でも実力がどれだけ出せるかを、みようとしていることを理解したが、大門監督らしいと思った。
そして、全員、会場の自席につくと、大門美代子監督以下、助監督の新井健治、映画製作会社「未来映画」社長の詩根舞子、脚本家の大門肇、の4人が舞台上に審査員で待機していた。




