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5-2 映画「少女歌人の恋」 ②

そして、オーディションの日が、近づいてきて、再び、社長から、


「麗子、例のオーディションだけど、ごめんなさい。ちょっと、昨日、聞いた情報なんだけど、あなた、今回は、絶対に、合格は無理だと思うわ。残念だけどね。」

「ええ、どうしてなんですか。」

「それはね、うわさの女性が来日することがわかったからなのよ。」

「それって、いったい誰なんですか。」

「今回は、オーディションなので、もしかしたら、来ないかもしれないと思っていたのだけど、まさか申し込んできたのよ。だけど、あの新作のストーリーが、発表されたら、歌人の話しだっていうじゃない。それを聞いたら、ああ、それじゃあ、あの子、絶対にやってくるわ、って思ってたのよ。最初から、来るのがわかっていたら、麗子にオーディションの話しはしなかったわ。」

「ええ、それって、いったい誰なんですか。」

「それは、オーディションに行ったら、わかるから、それまで楽しみにしてて。」


 そして、大門監督の家では、夫婦で、話しをしていた。大門監督の夫も、有名な脚本家で、よく夫婦で作品作りをしていて、今回の作品は、妻の美代子からの要望で書き上げたものであった。


「美代子、今回は、歌人の映画なのに、本人にオファーしないで、どうしてオーディションになんかしたんだい。珍しいな。歌人の話しなら、もう、直接、本人にオファーするしかないだろう。」

「そうね。私も最初は、オファーのつもりだったんだけど、ちょっと別の目的があってね。まあ、歌人の映画だから、オーディションだけど、来ないなんてことはないと思ったけど、ちゃんときてくれてよかったわ。」

「だけど、これまでででいた映画は、みんなオファーだっただろう。それをオーディションにしたら、彼女だって、プライドがあって、こないなんてことは考えなかったのかい。僕は、ちょっと心配したんだよ。」

「ああ、その点なら大丈夫。あの子は、そんなえらぶったところなんてないから、たぶん、今回だって、なぜ自分がオーディションなんか、とかは思ってないと思うわ。きちんと、正面から、オーディションに挑んでくるに違いないわ。あの子は、そういう子よ。それよりも、私が本当に楽しみなことは、他にあるのよ。」


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