2-5 謎の美少女 麗華⑤
だが、少女は、動じない。それどころか、2人が、少女に対して責め続けることは、とうとう少女を本気にさせてしまった。
なるほどね。さっきの奥義を、また仕掛けてきたけど、それでだめだと知ったら、2人して、ありったけ、仕掛けてきてるわね。本当に、しつこいわ。だいたい、この仮面師の私に、あなたたち、私を敵にまわすなんて、いい度胸じゃない。やりたいだけやるがいいわ。あなたたちが、そのつもりなら、今日は、私もここまではやるつもりはなかったけど、ちょっとショックを味あわせてあげる。私も、少しだけ本気だすからね。
すると、その後の撮影は、麗子になった少女の演技力に、急激な変化が見られた。
数日前までの撮影では、麗子とあやめ、そして、今回、加わった吹雪すずめの3人は、同様に、参加者全員の中でも、トップレベルの素晴らしい演技を見せていた。
ところが、今、麗子の姿になっている謎の美少女、仮面麗華は、その演技力のレベルを徐々に上げていき、3人の中でも、その演技力は、1人だけ、さらに並外れに際立っていく。
すると、その現場は、その麗子の演技力に圧倒されるようになり、それまでとは違った雰囲気の現場になってきた。
緑川あやめと吹雪すずめは、麗子が不調になるどころか、その演技力がレベルアップするのをみて驚きをかくせない。
麗子ったら、いったい、何があったの。奇才塾で腕をあげたとは思ったけど、ここまでだとは信じられないわ。これでは、私たち2人の演技が完全に見劣りしてしまうわ。このままじゃ、いい恥さらしよ。
すると、監督は、だんだん言葉少なになってきて、撮影を進めている。そして、監督は思った。
進藤さんは、たしかに、その演技力は、レベルが高く、数多く賞も獲ってきたが、今、目の前にいる彼女は、さらにレベルが上がっている。さっきまで、特に際立っていた3人だったが、一気に2人は、引き離されていて、進藤さんに取り残されたようなイメージすらあった。進藤さんに比べたら、2人は、見劣りしてしまうな。しかし、2人が悪いわけではないが、進藤さんがすごすぎただけなんだ。いったい、なぜ、急にこんなすごい演技ができるようになったんだ。こんな素晴らしい演技なんて、今まで見たこともない。
そのセリフも、声の大きさ、抑揚の調子に、それに合わせた表情など、どれをとっても、完璧にやり続けている。その上、感動するセリフの、その表現力に至っては、さらに、その上をいく。そこに、あのセリフをしゃべる時の表情は、どうだ。つい、感動で涙があふれてきた。どうしたんだ、これは、いったい?




