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【旧稿】台所シリーズ ― 水と記憶と祈り ―  作者: 朧月


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第4部 知覧編 第1話 てきしん

響香の父の育った町 知覧。


大きくなっちょっね。今年も来たっが と 


町に人がこえをかけてくれた夏。


それは、昭和50年のころ。


響香の父は、戦時中の話を、語らなかった。


その扉をあけるとき、ちいさな断片をつなげるしかなかった。


知覧茶を飲むときに、あの空がかえってくる。




にいちゃんは、初めてみかんの木をみた。


だから、いったんだ。にいちゃんのぶんもくれって。


うそつけ。っていうから、ちゃんばらで、勝負した。


ないたけど、かったから、もらった。


おこられた。


にいちやんじゃ、わからない。




にいちゃんは、北海道ってとこらからきた。蝦夷えぞのことらしい。


いつも、飛行機の練習にでかける。




夏は、二人でスイカをたべた。川でひやした。


たねは、ぼくが飛ばした。


春ににいちゃんが、かぼちゃ?ときいてきた。


わからないけど、そだてた。


葉っぱが六枚目になったところで、にいちゃんは、先端の葉を一枚つんだ。


てきしん というらしい。


てきしんというのは、


葉にこれいじょうのびるな、つぎは、はなをつけろ と いってきかせることだという。






てきしんをすると、


葉は、二手の分かれて花をつけた。


せんていも した。


ふたりでみてたら、しましまがあらわれた。




おもいだした。


僕が、種をとばした。




二人であっちこっちにたねをとばした。


来年は、スイカばたけだ。


こんなうまいもんは、北海道にない。


と、にいちゃんはいって、リンゴの話をきかせてくれた。




みかんの皮とたねをどうしようかというはなしになった。


にいちゃんは種をひきだしにしまった。




にいちゃんの飛行機はとんだ。


みかんのたねをポケットに入れた日


にいちゃんは、二度とかえってこなかった。






ぼくが、10歳。


ここは、知覧、昭和20ねん。

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