97/116
(スマホの)夜会編 第4話 百年塔と歌と森
第4話 百年塔と歌と森
今日のスマホの夜会の最後は、歌の話だった。
「今はもうない、あの高い塔っていったら、江別の百年塔よね。」
「そうね。」
「百年を記念したけど、五十三年しか残らなかった塔。」
「人間の平均寿命にも届かなかったのね。」
「持続可能って、なかなか難しいね。」
「何百年も残っているものが、どれほど大変なことか、だよね。」
「百年塔の跡地って、なんか、しょぼくない?」
「なんで、歌なんかにしたんだろうね?」
「いや、歌にしたら、千年残るかもしれないって……。」
「流行ったら、聖地も、聖地ね。」
「この前、日本の歌を聴こうとしたら、ドル、請求されそうになった。」
「いっぱい、歌ってもらわなきゃね。」
「忘れないぐらい。」
「亀田課長、声かれちゃうね。」
「キリストよりすごいね。」
夜は、しずかに更けていった。
塔のあった野幌の森は、
しんしんと雪が降っているにちがいない。
その横を走る誰かのカーステから、
あの歌が流れているかもしれない。




