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【旧稿】台所シリーズ ― 水と記憶と祈り ―  作者: 朧月


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長旅編 第17話 カナリアの残響

台所シリーズ 第2部 『台所はせかいをかえる』 長旅編

第17話 カナリアの残響


カラオケは、「虹の輪」の仲間たちの絆を、そっとつないでいた。


「国際貢献」なんて言葉の意味さえ、もう、わからなくなってしまった。

あの時も、そうだった。


汽車は、豊富な水資源を求めて走った。

水を、熱にかえて――空へと還す。


それは、夢だった。


つながりたいという夢が、水を蒸気にして、汽車を動かした。


あの頃、夢の原石は石炭だった。

連れていくカナリアに命を託し、地中深く、海の底までもぐって掘った。


そして、その汽車の通る場所に、町が生まれていった。


――では、汽車を走らせるという夢の先に、何があったのだろう。


やがて汽車は電車にかわり、

人びとは町へ、都市へと移り住んだ。


村は、静かに消えていった。


採掘の町は、わずか三十年で、繁栄と衰退をくりかえし、

若い人たちは町を離れた。


都市に行けなかった村の人びとは、何を想ったのだろう。


人は、誰かと比べたときに、不幸を感じてしまうのかもしれない。

ぼくらは、みんな臆病なのだ。


「正しさ」を、誰かに決めてほしい――

本当は、そんなふうに願っているのかもしれない。


論点は、ずれたり、ぶつかったり。


「その国のリーダーと、よく話しなさい」と言われるけれど、

そのリーダーが何を考えているのかさえ、見えないこともある。


それが本物のリーダーなのか、革命家なのか――

はたまた、過去の屈辱を晴らしたいだけの支配者なのか。


答えはいつも、あとになってようやくわかるのだ。


正義は、人を強くし、

また、人をきずつけてしまう。


この負のループを断ち切るものも、

きっと、正義しかない――


そう思いながら、涙をぬぐう。


船は、悲しみの海を、静かにこいでいく。


そして、その海を「カラオケ」という名の波が、

やさしく癒してる。


ギターの音が、虹の輪の仲間を包む。

ひとりひとりの声が、静かに重なっていく。


壊れたジグソーのピースが、

音の中で、またひとつ、つながっていった。

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