台所シリーズ 第1部「台所でせかいをかえる」ただいま編 今までのお話 第21話〜第30話
第21話 羊の飲む ほろ酔いサワー
「横顔ばかり?」
「そう。いつも前を向いて話す父を、私は横から見ていた。だから……あのレシピの余白の文字も、私じゃないわ」
第22話 「めだか」の秘密基地 (凛の物語)
知っている子だけが入れる、特別なルールだ。
噂はすぐに広まり、基地は大人気になった。
三人は新しい仲間を迎え、にぎやかになっていく。
やがて秘密基地は「おままごと」から「未来の街」づくりへと進化した。
第23話 秘密基地のその後
すると、大切にしていた布が
二つに裂けているのを見つけた。
夕方の光に照らされ、裂け目がひらひらと揺れる。
指先で裂け目をなぞると、しゃりっと小さな音がして、胸がきゅっと締めつけられた。
胸がぎゅっと痛くなり、泣きそうになるのをこらえて、
凛はその布をそっと抱えて家へ帰った。
第24話 人魚姫
そんな、人魚姫のうたも海の音にしかきこえないのです。
あーもうどうしたって、人魚姫も富士山もすくえないとおもっていたら、
あそこのラジオから、同じうたがながれだしました。。
さて、人魚姫のお話の芽はでてくるとおもう?
第25話 凛の誕生会
子どもたちだけでもなく、いつも ノーリアクションの夫まで「おおつう これはすごい」と感嘆の表情。
アラビアのケーキのような美しい料理が湯気とともに、姿を現した。オレンジの人参も、花形のクッキー型でくりぬいた。紫の人参は星形で。
「大成功」
そして、ふたりはどちらからともなく「はり と 糸を」
第26話 舞台の余韻 遠くの涙
ふたつの世界のあいだに立ち尽くしながら、
言葉にならない不安が、じわりと胸に広がる。
「今日の成功が、明日を変えるわけではない」
そんな声が、心の奥で響いた。
テレビの音だけが流れる部屋で、未希は静かに息をのむ。
しばらく画面を見つめ、そっと視線を落とした。
第27話 間奏エピソード あたり前のじじの庭
札幌市民なら、この庭の場所をすぐに答えられるはず。
「私も行ったことがある」と、笑える日がきっと来る。
パパはじいじになり、ママはばあばに変身した。
第28話 そんなクリスマスソングが流れたら
アラビア語のメモを見た日のことも、忘れてしまっていた。
伸子さんは、それを「親子の思い出」として持ち帰ってくれたのに。
── 小さなメモ。スーツケース。
そして、目の前の箱。
第29話 クリスマスがおわらない
いいねをつけて、今日もクリスマス。
元旦になっても、
クリスマスの日々は続いていた。
リボンのかかった箱は、
部屋のインテリアみたいになっていた。
第30話 3000円の宝くじと、私の報告書(正月)
夫の日本ハムの帽子をかぶせ、みんなで変顔をして写真を撮った。
寒いとは誰も言わず、たくさん笑った。
去年の正月、たった一度だけ予定外にここで過ごせなかったことで、こんなふうにこの時間を愛おしく思えることに、伸子は自分でも驚いていた。




