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【旧稿】台所シリーズ ― 水と記憶と祈り ―  作者: 朧月


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ただいま編 第27話 間奏エピソード あたり前のじじの庭

台所シリーズ 第1部 「台所でせかいをかえる」ただいま編

第27話 間奏エピソード あたり前のじじの庭


苗穂駅のとある場所で、哲郎は今日も働いている。

だから、時々お弁当を食べるこの場所は、哲郎にとって「じじの庭」なのだ。


間奏 あたりまえのじじの庭


(哲郎と響香のクリスマス前夜)


黒と白のストライプのリンクを踏みしめると、

ガタガタと音を立てながら、庭への道がひらけていく。

ぐるりと回り、階段を降り、エレベーターで地上へ。


見上げれば、空へとまっすぐ伸びる大きなモミの木。

クリスマスが近づくと、それは立派なクリスマスツリーになる。

いったい誰が飾りつけをするのだろう?


この宮殿には、サンタがいる。

それも一人や二人ではない。

三人、四人……いや、数えきれないほど。

魔法が解けることはなく、天使の母が「5時45分のお便り」と

約束の時間をやさしく告げる。


迷宮の先に光が差し込み、

巨大なモミの木は豆の木のように魔法に包まれる。

赤い絨毯とポインセチアが彩る階段を上れば、

そこは幻想の世界。


恥ずかしがり屋の天使は、私を抱きしめたりはしない。

でも、レコードの針のように指先をそっと近づけると、

天使も指先を重ねてくれる。

それが、天使の母からのクリスマスプレゼントだった。


この瞬間を、心のハードディスクに刻み込む。

何度でも再生できるように。

太陽のような音楽が、ずっと流れ続けるように。


「パパの庭」の迷宮に響くのは、クリスマスソング。

時計を見ると、2時20分。

スマホを手に取ると、彼の5000回の語りも今日は心地よい。

赤いソファーで、ただ待っているだけで幸せだった。


札幌市民なら、この庭の場所をすぐに答えられるはず。

「私も行ったことがある」と、笑える日がきっと来る。


パパはじいじになり、ママはばあばに変身した。


ドラキュラがムササビになっても、

ユキンコが魔法のくるまに乗っても、

じいじとばあばの恋人が誰か、ちゃんとわかるはず。


前歯のないチビがジャンバーを広げる愛らしい悪魔、

真っ白いダウンの天使の指先。


さすが、日本初のビール工場の跡地だけあって、

レンガも語る——

「明日は、クリスマスだよ」と。


徹夜のサンタクロースに、ありがとう。

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