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ただいま編  第11話② レシピの余白に咲く文字 間奏詩 『さしすせその花びら』

庭にある階段をあがった、素敵なお店。

メモリー。


素敵なお料理が、ゆっくりはこばれてくる。

そのせいではないのだけれど、

異国のレシピにふれあったふたり。


そこで生まれた、たわいもない詩。


『さしすせその花びら』


メモの中の、小さな虫たち。

アラビアからきたって。


ひらがなは、小さな花びら。

レシピの余白に、そっと懸命に咲く。


ボールペンは、きっと静に時間をつなぐ橋。

線のいっぽんいっぽが、思い出の道へ。


未希と凛の「さしすせそ」も、

さとう、しお、しょうゆ、ソース?味噌——

不完全で、でも愛おしい。

やわらかな時間の匂い。


時計は五時。

話したいことは、まだひとつも言えない。


「ねえ、あっちでは何語しゃべってたの?」

「うーん、名古屋弁……かな?」

「異国で?」


窓の外は闇。

店内には二人と、静かな足音だけ。

二人の間に、照れと時間が落ちる。


浴槽の上のメッシュの袋。

思い出のおもちゃいれ。

もう遊ばないと知っていても、

捨てはしないひよこたち。


湯気の中で、語れなかった時間を抱えている。

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