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第0話 「異世界転生」


 「······もう······俺だけか······。」


 一人の老人が椅子に座りながら1枚の写真を見つめながら微笑んでいる。

 その老人は白髪で毛量は普通の老人よりもあった。

 そして見た目は優しそうでとても気さくな老人。


 「生まれてこの方92年···人生色々あったな···。」

 老人は大きく息を吐き、座っていた椅子から立ち上がった。

 「さて、テレビでも見るかな。」

 

 当たり前だと思うが老けると体が重くなる。

 少し歩いただけでも息切れを起こしてしまう···。

 まあ俺はそんなことは無いが······。

 しかしまあ老けたくないものだね。

 シワは増えるし、力も弱くなるし、目も耳も悪くなる······。

 挙句の果てには老害扱いされる。

 全く歳は取りたくないものだね。


 自己紹介が遅れた。

 俺は『吉田修二』ただ剣術と銃の扱いが少し上手い老人さ。

 ところで···さっき俺が見ていた写真は俺のまだ若い頃の写真で、俺の親友4人で撮った写真なんだ。


 修二はソファに腰掛けてテーブルの上に置いてあったリモコンを取り、テレビの電源をつけた。

 テレビをつけるとニュースが流れていた。

 「最近はニュースばっかだねぇ。」

 修二は息を大きく吐き、テレビの電源を消した。


 暇だなぁー。

 暇だ。

 暇だ暇だ暇だ暇だ。

 案外老人はすることが無いのである。

 そしてボケる。

 修二は顔を上げて天井を見た。

 

 ······なんかこうあっと驚く出来事無いかな。

 例えば家が’’爆発’’するとか、ゴキブリ10匹が俺めがけ飛んでくるとか······。

 まあ···ないよな。

 というか今あっと驚く出来事が起きたら心臓発作で死ぬ自信がある。


 ホントに······。


 その時修二はふと思った。

 

 『俺って···いつ死ぬんだろう···?』

 もう92だしそろそろ死んでもいいと思うんだけどそれが案外死なないんだよなー。

 確かイネッサは『私はお前らよりも長く生きてやるわ!』とか言ってたけどあの4人の中で最初に死んだからな。

 案外長く生きるって言った人はすぐ死ぬのかもね。


 確か俺は24の時『多分最初に死ぬのは俺かも』とか言ってたな。

 案外そう言ってた方が長生きするのかもね。

 

 ·········。


 修二はボーっとした。

 ただただ何も考えずボーっとした。

 修二の心はとても落ち着いていた。

 その落ち着いている時に何か来るのを感じた。


 ······やっとか···。


 最近、力が弱くなったり食欲がなくなったりして不思議に思っていたが、俺もついにこの時が来たか。


 「衰弱死······か。」

 

 修二は死ぬのに恐怖心はなかった、逆にとても落ち着いていた。


 あぁ全くこの人生、親友も出来て五体満足で、しかも衰弱死で死ねるとは······全く、いい人生だった。

 修二は微笑んだ。


 でも結婚出来なかったのは心残りだけど。


 ······イネッサ、ブラット、ハロルド·····。

 俺もようやくそっちに行くようだよ。

 だからお前たちはそっちで酒の準備でも······しといて······く······れ······。


 修二はいや···吉田修二は死んだ······。


 死因は『老衰』






 「ココは······何処だ?」

 気がついたら辺り一面真っ白の空間に立っていた。

 少し頬をつねってみることにした。


 「痛く······ない······?」

 ということは夢?

 でも俺死んだよな。

 死んでも夢は見るのか?

 もしかして走馬灯?


 というか······。


 俺は体のある変化に気がついた。


 て、手にシワがない···。


 修二は自分の顔を触った。

 しかも肌に結構張りがある。

 

 なんということでしょう。

 あんなにしわしわでレーズンみたいな肌が何とびっくり!ツルツルに若返ってるではありませんか!

 

 そう···修二はいや、吉田修二は26歳の頃の姿に若返っていた。

 髪も白くなく黒い。

 それと服は着ていなかった。

 全裸である。


 しかしまあ、ココは何処なんだろう?

 天国?地獄?それとも死後の世界?

 別にどれでもいいんだけど。

 なんだろう凄く怖い。

 人って知らない場所に突然連れてこられると恐怖がこみ上げてくるっていう言葉を聞いたことあるけど、そのとうりなのかも?


 すると······。


 「やあこんにちは。」

 優しそうな女の声が背後から聞こえた。

 急いで振り返るとそこには一人の女が立っていた。

 とても優しそうな顔だ。

 その女は修二を見ていた。


 人······?


 でもこんなところに人は·········いや死んだからここにいるとか?

 でも服着てるぞ。

 いやいや、全員が全員全裸とは限らないからな、うん。


 「どちら様?」

 俺は少し、目の前にいる女の人に警戒していた。

 「私は死んだ魂を新たな場所に向かわせる係をしております。」

 へえーということはこの女の人は神様ってこと?

 「はい、神様です。」

 「え!なんで考えていることが分かったんですか?」

 「それは神様ですからね。人間の考えていることなんてお見通しです。」

 この時俺は神様スゲー!と思った。

 「ところで、修二さん。これを。」

 神様は紙と羽根ペンを修二に渡した。

 「あの···コレは?」

 なぜ俺の名前を知っているのかは、あえて触れないことにした。

 修二の頭の中には’’?’’がいっぱいだった。

 「何言ってるんですか?書類ですよ。」

 いやそれは分かるんだけど······。

 いやなにこれ。

 一通り目を通してみたが、この書類はただ質問を答えるようだ。

 だけどなんだ?次は何に生まれ変わりたいですか?

 とか、どんな世界で生まれ変わりたいですか?

 とか、年齢はどれがいいですか。

 という質問が8問程ある。

 なんかアレみたいアンケートみたい。

 「というか···生き返る前提なんですね。」

 「そうですね。···ですが生き返らずここに留まる方もいるんですよ。ほらあそこに···。」

 神様が指差すとそこには全裸の女が狂ったように叫び走っていた。

 「皆さんあーなるんですよ。不思議ですね。ほらあそこにも。」

 また神様が指差すとそこには全裸の男がブリッジしながら走っていた。

 「’’ホント’’に不思議ですよね。ふふふ。」 

 「あーそうなんですか······。」

 修二は冷汗が流れ出た。

 ヤベー!!コレはホントにヤベー!!

 何あれ!?え?!この神様本当は相当やばい神様なんじゃ······。

 神様はニコニコしながら修二を見ていた。

 修二は動揺を隠しながら質問に答えた。



 《質問1.貴方はどんな世界に生まれ変われたいですか?》

 

 どんなって言われてもなぁ······。

 どんな世界があるのか知らないし。


 「あの、この質問1でどんな世界に生まれ変われたいですか?って質問なんですけど、生まれ変われる世界はどんなのがあるんですか?」

 「それはですね···。修二さんが生きていた世界に生まれ変われることも出来ますし、修二さんたちの世界でなんか、い、異世界?なんかにも生まれ変われます。でも答え方はざっくりでいいです。魔法が使える世界とか、異世界に生まれ変われたい等を書いてくれればこちらで’’ざっくり’’ですがその世界に生まれ変わらせます。」


 ざっくりなんだ······。


 じゃあどうしよう。

 生きていた世界にもう一度生まれ変わってもいいし。

 異世界にも生まれ変わっても楽しそうだし······。

 うーん。

 でも生きていた頃異世界系のアニメめっちゃ観てたし、観てる時にこんな世界に生まれ変わりたいとか思ってたから生まれ変わるのは’’異世界’’にしよ。

 

 そこで俺はこう答えた『’’魔法’’が使えて、魔獣や魔獣、他にも魔王とか勇者がいる異世界で生まれ変わりたい!』と。

 


 《質問2.何歳で生まれ変わりたいですか?》


 難しい質問だな···でも0歳だな。



 《質問3.種族は何がいいですか?》

 

 種族?そんなのも決められるの?ゲームじゃん。

 

 うーん···スライムとか?

 いやいややめとこ、なんかやな予感するし。

 じゃあ蜘蛛?

 いやいやダメだな。


 ······じゃあココは王道の人間で。


 

 《質問4.前世の記憶を引き継ぎたいですか?》

 

 前世の記憶かぁ···でも俺の前世の記憶はろくなものしか無いし、だけど······。

 その瞬間修二の頭の中に数人の人が映った。

 だが顔は見えない。

 

 ······忘れられないよな。


 前世の記憶は引き継ぐと。



 《質問5.前世の技術を引き継ぎたいですか?

 注意:この質問で引き継ぐと答えた場合、質問4の’’前世の記憶を引き継ぎます’’。》

 

 引き継ぐ!!


 コレは即答だったとさ。


 

 《質問6.初期スキルはどのようなのがいいですか?》

 

 え···初期スキルとかあんの?

 細かすぎない?

 

 「あの、この質問6で初期スキルとか書かれてるんですけど、コレなんですの?」

 「あーコレは、皆さん生まれ変わるとすぐ死んでしまうような人が多いので、最近では初期スキルを設けて生まれ変わらせたらどうか?という上の指示があったので生まれた時からスキルを所持できるようになっているんです。」

 

 へぇーそうなんだー。

 でも俺···スキルとかいるかな···?

 でも異世界転生もののお約束『特別な力を授かる!?』みたいなやつかな。

 別に俺はそんなのいいんだけどな。

 

 ということで初期スキルは無しにした。

 この決定半分がカッコつけで後は何とかなるだろうだ。



 《質問7.家族は要りますか?

 注意:コレは質問2で年齢6歳以下を選んだ方は必ず答えてください。》


 家族······いや、要らないよ。

 だって奪われてしまうのだから。



 《質問8.最後の質問です。貴方は生まれ変わったら何がしたいですか?》

 

 この質問で俺は少々考え込んでしまった。

 

 確かに考えてみれば生まれ変わって何したいかとかは考えたことないな。

 そもそもそんなこと考えるの結構珍しいだろうし。

 そんな事を考えていると······。


 「あっ、一つ言い忘れていたのですが質問8は別に答えても答えなくてもいいです。」

 そう笑顔で言われてしまった。

 俺は内心じゃあこんな質問出すなよ。

 と、思ってしまった。

 

 修二は書き終わった書類を神様に渡した。


 書類を受け取った神様は一度その書類を確認するため、一通り目を通した。

 

 俺は正直ワクワクしていた。

 それはもう新しくゲームを買うときと同じくらいワクワクしていた。

 だってあれだよ!生まれ変わるんだよ!

 ワクワクするよねぇ。

 え、しない?


 神様は書類の確認を終えるとこう言った。


 「それでは吉田修二さんのただいまから生まれ変わりを行います。それでは目を閉じて。」

 そう言われると俺は静かに目を閉じた。

 そしてそのまま意識がなくなった。





 

 ザーと水が流れる音が聞こえた。


 なんだ?

 水の音か?

 しかしうるさいな。

 水の音。

 するとチャポンと水に何か落ちた音がした。

 俺は恐る恐る目を開けてみると目の前に見た感じ高さ30メートルの滝が流れていた。

 でかい滝だな···あのザーって大きな音の正体これだったのか。


 というかココは何処だ?

 確か俺は老衰で死んで、気がついたらこんな場所に······。


 どうやら修二は神様とのあの出来事を覚えていないようだ。

 それもそうだろう、あの出来事の記憶は神様が消してしまったのだから。

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