表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

 冬の日、寒い街を、私は一人で歩く。一人だとは思っていない。歩いているのかどうかも、分からない。

〈0 冬、街中〉

 これは何の音楽だっけ。ベルの音……、あぁどうでもいい、分からない。うるさいな、雑音ならそれらしくもっと汚くしてろよ。

 今夜は、変な日だ。何か起こるのか、それとも起こっているのか。誰にも知らされていないし、今更教えてくれるような人もいない。国民に参加する義務はないということか。それなら、どうして公共の場を使っているんだ。うるさいな……。

 目がチカチカする。どうして木が光っている? 無機物が生命のフリして光るなよ、生命よりも強く光るなよ。光りもせずに生きているのが、馬鹿馬鹿しくなってくる。彩度を落とせ、落ちろ、モノクロになれ。視界がうるさくてまともに歩けないんだ。

 まるで冬のように外気が冷たい。理由が分からない。ただ、凍え死ななければどうでもいい。大丈夫、温かいコートを着てきたから。これはいつ買ったんだっけ。知らない、知らないけど気に入って買ったんだ。今見ても素敵だとは思えないが。

 帰りたい。今、帰っている最中だ。そもそもなんでここに来たんだろう。ああ知らない、知らない。帰りたい。

 大きな箱が積んである。嘘つき。いくら飾っても、中は空だろ。何だよ、それ、フィクションを現実に出してくるな。そんなことをするから、みんな馬鹿になるんだ。実際にはいない、いないのに、大人が騙す。それに則って、大人になった子供も子供を騙す。あぁ、私は騙されなかった。だから私は騙さない。

 なんだっけ……何が。何か……、何だっけ。何を考えていたっけ。騙す……ああ、分からない、もういい。わからない。

 続きます。

 この世界を、あなたにだけお見せします。きっと、読んでくれる人はあなたしかいないでしょうから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ