6.なんとか免許を取得するようです
「これ持ってないと、この路線で列車の運転できないよ」
見せられたのはER 運転免許と書かれた、顔写真入りのもの。
なになに、発行は閻魔庁長官・・・ってことはエマの父さんに頼めば。
閻魔庁長官にER 運転免許を発行してもらうと念じた。
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「善君。ズルはいかんぞ。ズルは。」
「免許が欲しいならきちんと手続きを踏まないと。エマ頼んだぞ」
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列車無線で怒られた。どこで見てたんだ。
っていうか無線あるんだ。この世界。
ため息をついた後エマは善行を連れ立って、閻魔庁にたどり着いた。
そのまま役員会議室に直行した。
「善君。ここで今から運転適性検査を行うわ。これに合格しないと免許は無しね。」
運転適性検査ってことはクレベリン検査だよな・・・と思っていた時期がありました。
エマが何かを念じ始めると、鉄道博物館とかで見るような運転台付のシミュレーターが現れた。
「路線は東横線。渋谷から横浜まで、急行を運転してもらうわ。
善君は東横線利用者だったわよね。だから、馴染みのある路線が良いと思って。」
ご配慮ありがとうございます・・・・ってちがーう!! なんでそこまで知ってるんだよ。
「それじゃースタートするわね。」
気が付くと部屋にはエマ以外に数名の威厳ありそうな老紳士が複数名、
エマと同じ制服を着てこちらをガン見してる。
こちとらトレインシミュレータでやりこんでるんだ。見てろよ。
渋谷を出発し、自由が丘、武蔵小杉、綱島、菊名と順調に定時で進めてきた。
オーバーランもしてないし、良い感じじゃないか。
後は横浜駅に無事につけばいいんだな。よし、菊名定刻。
戸閉よし。ブレーキ解放、フルノッチでいざ出発・・・防護無線発報・・・・
ノッチオフ、ブレーキ!!
「こちら指令、こちら指令 菊名連絡線のポイント故障が発生しました」
いつの時代だよ。っていうかシミュレータでそんなことあるか?
とエマに突っ込もうとしたところ老紳士が周りを囲んでいた。
「うむ合格じゃな」
髭面の一番厳ついオッサンがしゃべりかけてきた。
「ほい、善君、お前さんの運転免許じゃ」
「ども」
うれしい筈なんだけど、なんか釈然としない。
シャイだからこういう時に、ズバット質問とかできないタイプなんだよね。
「だよね、父さん。運転も大丈夫そうだし、防護無線にも対応できてたし。
なにより、菊名連絡線知ってたし」
合格のポイントそこなの?しかも合格出したの閻魔庁長官=エマの父さんだったの?