522.回廊が軋み始めたようです
-第1世界の核心へアクセスするための観測層-
「善行、久しぶりね「だな」」
「どうして、オトンとオカンがここに?」
そう、そこに居たのはオイラの両親だ。
「君は知らなかったかもしれないが、君の家計は代々”第1世界の鍵”を管理してる
んだ。」
第1世界の鍵を管理?第1世界は異界から実験世界として扱われてい世界の筈。
そんな世界に鍵が必要か?
いや、第9世界と第1世界は密接な関係だったな。
第1世界の守護霊達が暮らす世界が第9世界って聞いたよな。
そして、第9世界には、”魂流”を守る異界から切り離された世界が繋がる。
第1世界から第9世界に繋がっていて、更に切り離された世界に繋がる。
どのような形でつながっているのか次第では、話はまったく違ってくる。
「第1世界と第9世界は、“魂流という名の回廊”で結ばれているんのよ。」
オカンが静かに言った。
「回廊……?」
「そう。異界中のすべての魂は、どこの世界で生まれたとしても、生を全うした
瞬間に、この回廊を通って次の世界へと旅立つ。
基本的には、魂の数は一定なんだけど、崩壊が始まったせいで、魂がそこから漏
れてしまい、減ってきているわ。」
オカンの説明でイメージで来たのは、エンジンオイルのパイプに穴が開いたら
そこからオイル漏れが発生し、やがて、冷却不良でエンジンはオーバーヒーとし
て停止に陥ってしまう。
「ひょっとして、魂が減少したら、異界が存続できなくなるってこと?」
「そういう事よ。魂の数が減っていくのは最終的に異界の滅亡に繋がる。
でも、今すぐにってことはないわ。今は漏れる数を減らすべく活動をすべき時
なのよ。」
オカンはそう言うと、少しだけ視線を落とした。
その横で、オトンが腕を組んだまま、重い声で続ける。
「本来なら、俺たちがその役目を続けるはずだった。
だが……回廊の崩壊は、予想以上に早くてな。
第9世界では博士が回廊の内側から崩壊の修復を試みてくれているが、芳しくな
いのが実情だ。
そして、私達夫婦も全力を尽くしたが・・・。」
オトンがすまなそうな顔をして、視線をさげた。
読んでいただき、ありがとうございます。
最近は世界同士のつながりをどう描くか悩んでいて、物語の進みが少し
ゆっくりになっています。
書いているうちに想定外の方向へ転がっていくのも楽しいのですが、
その分調整に時間がかかる状態です。
気長にお付き合いいただけると嬉しいです。




