516.時間を越えて守りに来たようです
-限界領域-
「良くここがわかったな。ユーリアスよ。」
「仮にも、オッサンの血が少なからず流れてるからな。
もっとも、その血が流れていることには反吐が出るほど嫌だがな。
今回は、その血がオッサンの居場所を突き止めることに一役買ってくれた。
使えるモノは使わせてもらわないとな。」
管理局局長ユーリアスは界王ティアマトの甥にあたる。
従って、前界王アルテウスと血縁にあるのだ。
「局長!無駄話している暇はありません!
すぐに例の機械を止めないと室長が!」
「おーっと、そうだったな。オッサンとしゃべってる暇は無いんだ!
老いぼれはとっととご退場願おうか。」
ユーリアスはそう言うと、大きく息を吸い込み、「変身」と叫んだ・・・。
-生と死の境界を越えた領域-
「タイムトラベルは可能だよ。善行。」
「何言ってるんだ、コピ。」
「博士の言ったこと覚えてないか?もう一人の私だってこと。」
そう言えば、博士はそんなこと言ってたな・・・。
博士のもう一人がコピと言うのはどういう事なんだ?
「アタシは博士が第9世界で、生を全うした後の存在なんだ・・・。」
コピは、どこか懐かしむような、それでいて痛みを抱えたような微笑を浮かべ、
言葉をつづける。
「本当は、異なる世界で生を受けるとき、前の世界での記憶は消去される。
でも、博士の思いは消えなかったんだ。正確に言えば――“残滓”かな。
博士が最後の瞬間に抱いた願い、後悔、希望、全部が混ざり合って、アタシに受け
継がれた。アタシは博士じゃない。でも、博士でもある。」
オイラは息を呑んだ。
目の前の少女が、ただのAIでも、ただの幻でもないことを理解し始めていた。
「そして、その願いが向かった先が……オマエなんだ、善行。
博士はね、最後の瞬間にこう思ったんだよ。
――『あの子を、ひとりにしないでくれ』って。」
オイラの心臓が大きく跳ねた。
「だからアタシはここにいる。
時間を越えて、オマエを導くために。
そして善行・・・オマエが守るべきモノを一緒に守るために。」
読んでいただき、ありがとうございます。
善行の傍に居て欲しいという博士の願いを叶えるため、コピは時間を越えて
来た存在なのです。
本来であれば、博士とコピが同じ時間を生きることは有り得ないのですが・・・。
次回に続きます。




