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シャイな鉄ヲタが何かをするようです  作者: Bトリー


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512/524

513.魂流の座標が揺らぎ始めるようです

-限界領域-


 ミルセリアは静かに目を伏せ、アルテウスの苦々しい声を受け止めていた。

 だが、彼女の瞳の奥には、主の野望とは別の色がわずかに揺れている。

「界神様。……ですが、“魂流”はただ奪えば済むものではありませんわ。

 あれは異界そのものの循環。扱いを誤れば、異界が崩壊しますわ。」

「承知している。だが、目的を果たすためには、これしか選択肢が無いのだ。」


 アルテウスは研究所の奥へと歩みを進める。

 そこには、巨大な円環状の装置が鎮座していた。

 中心部には淡い光が渦を巻き、まるで呼吸するように脈動している。

 ――“魂流観測機”

 ミルセリアはこれを一人で構築したのだ。


「これが……魂流の流れにある、奴の魂の座標を示しているのだな?

あとは、私が魂流に接触し、奴の魂を流れから取り出せばいいのだな。」

 アルテウスの声は、久しく忘れていた高揚を帯び、わずかに弾んでいた。


「ええ。ですが、界神様……」

 ミルセリアは一歩踏み出し、アルテウスに告げる。

「魂流に触れる際、一歩間違えれば、界神様の魂もまた、流れに呑まれます。

不要な魂を削除するどころか、ご自身が“選別”される可能性も……」

 アルテウスは振り返らない。

 ただ、低く、押し殺した声で答えた。

「構わぬ。

私は……あの日、限界領域に落とされた瞬間に決めたのだ。

この世界を、私の望む形に作り替えると。

そのためなら、魂の一つや二つ……いや、すべてを賭けても惜しくはない。」

 ミルセリアは小さく息を呑む。

 その横顔には、忠誠と不安、そして言葉にできぬ別の感情が入り混じる。


「……では、準備を整えますわ。

 魂流への“接続儀式”を開始するには、少し時間が必要です」

「任せる。私は――」

 アルテウスが言いかけたその時、研究所全体が低く震えた。

 警告灯が赤く点滅し、無機質なアラームが鳴り響く。

『警告。地上入口に侵入反応。識別不能。』


 ミルセリアの表情が一変する。

「……誰かが来ましたわ。

界神様、どうやら私達の正体に気づいた者がいるようです。」


 アルテウスはゆっくりと顔を上げ、薄く笑った。

「面白い。すんなりとことが運んでは面白くないからな。」

読んでいただき、ありがとうございます。

アルテウスは自分を限界領域に追いやった、ティアマトの魂を亡き者にしようと

しています。

しかし、アルテウスが信用しているミルセリアは、何やら別の企みも考えている

みたいです。

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「シャイな鉄ヲタが何かをするようです」
の補足事項は本文に記載してしまうと脱線しそうですので、
「シャイ鉄 補足事項」として記載していきます。

登場人物紹介、世界の成り立ちなど、本文に書ききれなかった
補足内容について記載していきますので、よろしくお願いいたします。
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