504.ボロ家の博士はご先祖様だったようです
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「見知らぬ天井だ・・・」
気が付いたオイラは、人生で一度は呟いてみたかったセリフを吐いてみる。
「何やってんだ、善行。周りをよく見ろ。屋根が崩落しているだろうが!
何だって、こんなボロ家に転移するかな・・・。」
珍しくコピが苛立っている。
それもそのはず。転送されたところは、星空がキレイに見えてしまうボロ家。
「いやー、ようこそ我が家へ!」
我が家・・・家なのかこれ・・・。
「みんな、狭いところだが、自分の家だと思って寛いで!」
寛げんわっ!
「えーと、博士。ここは、家?なんですか?ここを舞台に物語が進むとか言わない
ですよね?」
「何を言っているんだ、この研究所が舞台に決まってるだろう。」
終わった。こんなボロボロの研究所でどんなガジェットが作れるというんだ?
「さて、皆もそろったことだし、旅に出るとしようか。」
「いやいやいやいや、そもそも本当に博士なのか?
こんなボロ家でどんな研究ができるっているんだ?」
オイラのセリフを聞いた博士は、くるっと後ろを向き、背中をヒクヒクさせる。
さすがにちょっと言い過ぎただろうか・・・。
「はい、予想通りのコメント、ありがとう!
さぁ、出発するよ。席についた、ついた!」
ギシギシと嫌な音を立てながら、壁が左右に割れ、床が沈み込み、天井がせり
上がる。
さっきまで星空が丸見えだったボロ家が、まるで古い皮を脱ぎ捨てるように姿
を変えていく。
「ちょ、ちょっと待て! 崩壊してんじゃなくて変形してんのか!?」
「その通り!研究所モードへの移行中だ。」
博士はいつの間にかご機嫌を取り戻し、胸を張って腕を組んでいる。
背中をひくひくさせていたさっきの姿は、こうなることを予想して、笑いをこ
らえたのか。
変形が終わると、そこには未来的な機械が詰め込まれた“研究所らしき空間”を
持つ列車の車内に様変わりしていた。
「さぁ、旅の準備は整った。出発しようじゃないか!」
「いや、整ってないって!これ、列車だったの?」
「そうさ!旅と言えば列車だろ!」
「善君、私今気が付いたんだけど、この人、スキルー一族の創始様だと思うわ。
だから、ガジェット博士なのね。」
「エマ、どうして創始様と思うんだ?」
「だって博士の白衣に”アークライト”って書かれてたから。
スキルー一族の創始者の名前と一致するの。
つまり、このものが達はスキルー一族の創始様の冒険談ってことになるわね。」
スキルー一族と言うことは、コピのご先祖様ってことになるのだが、コピは
下を向き、博士の方を見ようともしていない。何かあったのだろうか・・・。
読んでいただき、ありがとうございます。
博士はスキルー一族の創始者”アークライト”のことで、この物語はその英雄譚
とも言えるのでしょう。
しかし、一方で、コピは創始者と顔を合わせまいとしています。
次回この辺について触れていきたいと思います。




