502.使命に導かれて現れるようです
-第9世界 ラジオ会館 ゲーム階層-
「そうそう、兄ちゃんが喜びそうなソフトも書き換えできるから、楽しんでくれ。
まぁ、所詮は8ビット時代のモノだから画質は期待するなよ・・・。」
そのセリフから、嫁達が一斉にこちらを向く。
「それって、ひょっとして脱衣系のヤツですか?」
「おいおい、それは非合法だ!うちらの世界はコンプライアンス重視だぞ。」
そのセリフを聞いた嫁達は一斉にがっかりした・・・。
「まぁ、本当だったら書き換えできるソフトは限られていたが、全ソフトが書き換
えできるようにしておいたぞ。コイツの使命を果たさせてやってくれや。」
そうだよな、ディスクライターの使命はソフトを書き換えすることで、ユーザー
にゲームをたくさん楽しんでもらうことだもんな。
目録をくれたけど・・・あっ、ディスクシステムに対応するゲーム機もモニター
もないじゃん・・・。
「そうそう、まだ、交換できる分情報貰ってるから、コイツも一緒に持ってってく
れ。コンデンサとかその他諸々を最新化して、まだまだ使えるヤツに仕上げた逸品
だぞ。」
そう言って、店のおっちゃんが、ゲーム機、ディスク読み込み機、ブラウン管の
テレビを渡してきた。
あれっ、これってうちのオトンが使っていたテレビ?写真に写ってたな。
「そのテレビは、どういう訳か兄ちゃんがここに来た時、勝手に店の裏から転がり
出てきてな。まるで“連れてけ”って言ってるみたいだったんだよ。」
店のおっちゃんは、まるで不思議な話をする時のように、声をひそめて言った。
「そのテレビ……兄ちゃんが来る前は、どうやっても映らなかったんだ。
修理しても、部品替えても、うんともすんとも言わねぇ。
なのに、兄ちゃんが触ったら一発だ。」
嫁達がざわっとする。
「最初はただのジャンクかと思ったんだが……電源入れたら、ピタッと映ったんだ
よ。しかも、兄ちゃんがここに来た時からだな。」
「あの、このテレビひょっとしたら父が若い頃に使っていたテレビなのかもしれ
ません。それで映った可能性ってありますか?」
「この世界じゃ、物にも“縁”ってやつがあるんだ。その可能性は十分にあるだろ
うよ。それで、兄ちゃんの縁が、このテレビを呼んだんだろうよ。」
おっちゃんは肩をすくめながらも、どこか嬉しそうだ。
「まぁ、理由はどうあれ、こいつは兄ちゃんのもんだ。持ってけ。
――ただし、ひとつだけ注意しろよ。」
おっちゃんの声が急に低くなる。
「このテレビ、たまに“映っちゃいけねぇもの”を映すことがある。」
「……は?」
読んでいただき、ありがとうございます。
ブラウン管テレビって昔は当たり前だったのに、いつの間にか身の回りから
無くなってしまいました。うちも地デジチューナー買って最初は見ていた筈
ですけど、いつの間にか液晶テレビが当たり前になってました。
もう少し懐古の時間が続きます。お付き合いいただければ幸いです。




