501.使命を果たすために息を吹き返すようです
-第9世界 ラジオ会館 ゲーム階層-
エマやシャーロット達が思い思いの階層を散策していたころ、善行とコピはまだ
ゲーム階層に居た。
「コピ、コイツを1台欲しいんだが、ここの世界のモノって持ち帰っても大丈夫な
のか?
何となく、この世界と言うかここにしか存在できないような気がするんだけど。」
第1世界の守護霊達の世界にあるものを他の世界に持ち出すことはできないので
は無いかと思ったのだ。
「大丈夫だぞ。ただ、オマエの力でお前の持ち物だって所有権を書き換えないと。
ここにあるものは全て、第1世界で前の持ち主が使命を果たしてやれなかったモノ
が、この世界に漂流してきたモノだからな。
あと、このまま持ち帰るには大きすぎるだろ?縮小化しないと。」
そうだ、綾香の”持ち運びケース”の縮小化機能を使えば大丈夫な筈だ。
そのためには、綾香をこの階層に連れてくるか、”持ち運びケース”を借りてこな
いといけないな。
そろそろ、2時間位経つな。一旦、ホログラムのところに戻るとしよう。
-第9世界 ラジオ会館-
「善君見て!こんなの貰っちゃった!うちで鑑賞会しなくっちゃ。ね、リン!」
「そうだな。楽しみだ!エマ!」
何でテレビデオ持ってウキウキしてるんだ、この二人は?
「善行さん、私もこのようなものを貰ってしまいましたわ。
一緒に作ってくださいますわよね!」
「室長、聞いてくださいよ!私なんてデコレーションしたトラックのプラモデル
ですよ!」
なんか、みんなそれぞれ楽しんできたようだ。
「えーと、綾香、持ち運びケースってオイラでも使用可能かな?」
「何を密輸しようとしているんですか?」
嫁達がその言葉を聞き、一斉にオイラを白い目で見る。
コピは一緒に居たはずなのだが・・・。
「違うって、欲しい筐体が有ったんだけど、大きいから縮小化したいんだ。
で、綾香、どうなの?」
「私専用装備なので、他の方は操作できません!」
やっぱりね。ということで、全員でゲーム階層に向かうこととなった。
-第9世界 ラジオ会館 ゲーム階層-
「おっちゃん、さっきの1台貰いに来たぞ!」
「おー、さっきの嬢ちゃんか。ほら、掃除しといたから新品同様だぞ!」
「おお……本当に新品みたいだな」
オイラは筐体の側面を撫でながら感嘆の声を漏らした。
最初に見たときは埃まみれだったはずなのに、今はまるでタイムスリップしてき
たかのような輝きだ。
「おっちゃん、これ掃除したってレベルじゃないだろ?」
コピがじろりと店主を見る。
「はっはっは、ワシの趣味みたいなもんや。
こういう子らはな、手をかけてやると喜ぶんや。
前の持ち主も、きっとそうしてたんやろうしな。」
その言葉に、オイラは少しだけ胸が温かくなる。
使命を果たせなかった“モノ”たちが、こうして誰かの手で再び息を吹き返す――
この世界の優しさを感じた。
読んでいただき、ありがとうございます。
第1世界で使命を果たせなかったものが漂着して、次の持ち主に使命を果たさせて
貰うことを待っている。第9世界のラジオ会館はそんな場所として書いてみました。
善行達がここから持ち帰った後のことは、後日談として書きたいと思います。




