459.インターネットを学ばせるようです その5
-スキルーランド バーチャル演劇アトラクション-
「無線でもいいんですけどね、室長。問題は“届く距離”なんですよ。」
綾香は指で空中に円を描きながら、二人に向き直った。
「無線って、せいぜい数十メートルから数百メートル。
吹雪や地形で遮られたら、もっと短くなります。でも――」
綾香はモニターを指さした。
「インターネットは違います。
世界中のどこにいても、情報を届けられる“道”なんです。」
「道……?」バスティアンが眉を寄せる。
「そうです。例えば、街と街をつなぐ街道がありますよね?
あれが世界中に張り巡らされていると想像してください。
ただし、荷馬車じゃなくて“情報”が走るんです。」
「情報が……走る?」ルーデリッヒは興味深そうに身を乗り出した。
「はい。ロボットに出す指示も、声が出せない状況なら、この“情報の道”を通して
送ることができます。文字でも、図でも、緊急信号でも。」
「なるほど……声が届かなくても、道を通して命令を届けられるわけね。」
「その通りです、ルーデリッヒさん!」
綾香は嬉しそうに頷いた。
「インターネットは、世界中の人や機械をつなぐ巨大な網のようなものです。
だから“ネット”って呼ばれるんですよ。」
「網……。つまり、どこにいても繋がる蜘蛛の巣のようなものか。」
バスティアンが腕を組む。
「そういうイメージで大丈夫です。
ロボットはその網を通じて、遠く離れた場所からでも指示を受け取れるんです。」
「ふむ……。それなら、吹雪の中でも、崖の向こうでも、助けを求める者に指示を
届けられるというわけか。」
「そういうことです、バスティアンさん。」
綾香は微笑んだ。
「だから、ロボットとインターネットはセットで考えると便利なんですよ。
ロボットは“手足”、インターネットは“道”。
そして指示を出す人は“頭脳”。三つが揃って初めて、最大の力を発揮します。」
「なるほど……。
我々が頭脳となり、ロボットが手足となり、インターネットが道となる……か。」
バスティアンは深く頷いた。
「あとは、第26世界にインターネット網を構築すれば、ロボット操作だけでな
く、様々な情報のやりとりが可能となりますよ。
電話なんて時代遅れになっちゃいますから!」
その時、突然綾香の電話が鳴った。
「ハイ、ハイ、えー、えっ?・・・わかりました。」
「室長、界王様からの伝言です。
パソコン立ち上げて、Teamsのチャットを見て欲しいとのことです。」
なんだか、とっても嫌な予感しかしない。
パソコンを立ち上げ、Teamsを起動すると界王様からのチャットが入って
いた。
”第26世界を吹雪の世界から救えるのは君だけだ!期待しているよ!”
・・・絶対、めんどくさいヤツじゃん。あれ、チャットに添付ファイルが。
”これは善君にだけ教えるね。あの世界が吹雪になっているのは、私が小さい頃
に吹雪発生装置を魔法の練習で飛ばしてしまったからなんだよね。
いやー、兄の誕生日のサプライズで吹雪を発生させる予定が、他の世界に飛ん
で行っちゃって、参った参った・・・・。
で悪いんだけどさ、吹雪発生装置探して吹雪止めてくれないかなぁ~。”
ご丁寧にWORDにこのメモが書かれて添付されていた。
いや、ちょっとまて。吹雪が止まったら、今までやってきたことが全部水の
泡になるんじゃないのか?
読んでいただき、ありがとうございます。
今回で ”インターネットを教えるようです” は、最後となります。
界王様のお願いを聞かないと後が怖いので、次回からは第26世界で吹雪発生装置
の探索が始まりそうです・・・。




