450.地下連絡列車が覚醒するようです
-第26世界 界長執務室-
界長バスティアンは執務室に居た。
そこへ地下研究室のルーデリッヒが駆け込んできた。
「どうしたんだ、ルーデリッヒ。そんなに血相変えて。」
「バスティアン、大変。隣の建物で感染症が発生したわ!
急いで特効薬を運ばないと!」
「何?!そんな連絡は受けていないぞ!」
「どうやら吹雪がひどくて通信網が機能しなかったみたいよ。」
「ならどうやって、その情報を得たと言うんだ?」
「ミーヤの実験が成功したのよ。列車が到着した際に、隣の建物の医者が知らせて
来たという訳よ。細かいことは良いから、早く準備して。全滅しちゃうわ!」
この世界の感染症は特効薬さえ投与できれば怖くないが、感染力が恐ろしく高い
という問題があり、全住民が特効薬を服用しなければならないほどだ。
幸い、バスティアンの能力で薬は念じれば出てくるため、いくらでも作成するこ
とは可能だ。その薬を小分けにして瓶詰めする作業が有るので、準備には少し時間
がかかってしまうのだが・・・。
「隣の建物の住民数はおよそ5,300人だったな。1時間で準備する。
ルーデリッヒ。すまないが、輸送の手配を頼めないだろうか?」
「いよいよ、地下連絡列車が日の目を見るのね。早速、ミーヤと準備に入るわ。」
ルーデリッヒは執務室から急いで地下の研究室に向かった。
-第26世界 中央駅地下研究室-
「ということなの。ミーヤ、1時間後に隣の建物まで地下経由で列車を出せる?」
「あのー、そのことでご相談があるんですけどいいでしょうか?」
「善行さん・・・でしたね。どのような事かしら。」
「ルーデリッヒさん。さっき実験が成功した列車はアプト式の列車でしたよね?」
「ええ、そうですけど。」
「地下を走るのにアプト式にする必要は無いですよね?」
「?!」ミーヤさんとルーデリッヒさんが顔を見合わせた。
「そう・・・だわ。地下なら吹雪とか関係ないからラック式にする必要ないじゃ
ないの!粘着式、つまり普通の鉄道で良いのよね。今まで鉄道=ラック式だった
から、そう思い込んでいたわ。」
ミーヤがそう言って納得した。
「で、ですね、良ければ私の列車で運べば最高速度120キロは出せますので、
15分くらいで運ぶことができますよ。」
「「頼んだわ!」」
ミーヤさんとルーデリッヒさんがハモった。
1時間後、地下研究室には特効薬を満載した117系が出発を待っていた。
先ほどの実験は上手く行ったが、1度しか実験していないので信頼性に欠けると
なり、列車は遠隔監視となった。運転はスキルーランド開発室謹製の制御装置が
勝手にやってくれる。
「117系、行ってらっしゃい!」
117系は”了解”と言う言葉とテールランプの軌跡を残して真っ暗なトンネルに
姿を消した。
読んでいただき、ありがとうございます。
前回でラック式にしてしまった件について、回収を行うことができました。
レールはそのままですので、ラックレールを117系が跨いで120キロで
走行するという、絶対に有り得ない光景が成立してしまいました。
ツッコミどころ満載ですが、ご容赦いただければ幸いです。




