445.三相交流でもパンタグラフは二つのようです
-セレスト・セヴァ 車両センター-
「これがその車両です。では、シートを外しますね。」
ブリーデルがそう言うと、工場の従業員たちが、シートを外した。
そして、そこに現れた車両は・・・見たことが無いぞ、この車両。
恐らく電車・・・だよな。パンタグラフが付いてるし。
でも、パンタグラフがカニみたいについて、しかも横に2つ?
「善行さん、これって三相交流電車じゃないですか?」
三相交流・・・そうか、確かにパンタが二つあるからそうだよな。
三相の内、二相は二本の架線が、残り一相は線路が対応しているんだったな。
今でも日本ではポートライナーが三相交流だったっけ。
直に交流モーターを回せるので、ブラシが無くって効率が良い。
一方で今の時代、インバーターで交流モーターを動かせるので、装置が多く必要
な三相交流は少ないって聞いたな。
「まさか、こんなところでお目にかかれるなんて!
図鑑では見たことがあったのですが、BDhe2/4形ですわ!」
なぜか、シャーロットのテンションが爆上がり・・・。
そう言えば、オトンとオカンの新婚旅行の写真に写っていた車両がこんなだった
ような・・・スイスだったよな。あ、ユングフラウ鉄道の車両か。
しかし、わざわざこのような登山電車をデッドコピーして、活用する必要がある
世界なんて存在するのか?
よほど、山しかない険しい地形でできた世界でない限り、このような登山電車は
不要な筈だ。ラックレールなんて、平地だったら絶対に不要だし。
「善行さん。ひょっとしてこの列車がどの世界で使用されているのか気にされてい
ますか?これは第26世界で使用されていたのだと思われます。
さきほど、異界管理局に問い合わせたところ、鉄道管理部で把握しているのは、こ
の形の最新形だそうでして、この車両は、恐らく以前使用されていたものではない
かと言う事でした。」
なるほどね、最新の列車じゃないから、鉄道管理部のデータベースに載ってなか
ったということか。
「シャーロット、その第26世界って、そんなに山ばっかりの世界なの?」
「善行さん、山も有りますし、平地も有りますよ。地形的には第1世界と変わらな
いですね。」
「だとしたら、ラックレール使用する箇所なんて殆ど無いでしょ?」
「第26世界は、気候に特徴がありまして、年中吹雪いています。
普通の鉄道だと、風で脱線する危険も有りますし、気温も低いので、レールが凍り
摩擦が無くなってしまうのです。
行ってみたいですか?善行さん?」
あー、行ってみたい気もするけど、寒いのはちょっとなぁ・・・。
読んでいただき、ありがとうございます。
箱根登山鉄道ではかつて、小田原-箱根湯本間は普通の平地を登山電車が走って
いたので、何かそのような変わり種は無いかと調べていたら、ユングフラウ鉄道
は三相交流電車という変わり種であることが判明した次第です。




