436.異界でも安全装置は設置されているようです
-M-497 運転席-
「旦那様、綾香に現を抜かすとはどういうことだ。早く帰って家族会議だ!」
そう言ってリンは、M-497のスロットルをMAXに叩きこむ。
M-497はおろか、連結しているキハ81系も、恐らく最速ではないかと言う
スピードで異界を爆走する。
「よーし、これならすぐに自宅に戻り、旦那様を懲らしめることができるぞ。」
リンは誰もいない運転席で一人ほくそ笑む。
次の瞬間、”ジリリリリ”というケタタマしい、ベルの音がする。
「なにごとだ?初めて聞く音だぞ!壊れたのか?」
リンはATSの動作音に驚いているが、ATSだと把握していない。
それもその筈。リンはATSがどういう仕組みか知らないのだ。
以前、リンがM-497を用いて次元の壁を突破したいと思い、エマに相談した
際、エマがM-497に異界対応のATSを装着したのだ。
ただ、細かい説明をしておらず、異界に対応させたからとだけ告げて終わった。
数秒後、M-497はエンジン噴射を止め、非常ブレーキをかける。
-キハ81系 車内-
”ギギギギギ”という音と共に、急制動がかかる。
オイラもシートから前につんのめりそうになる。
タイミング悪く、車掌さんがオイラの横に来ようとしていた時に急制動がかかり
車掌さんは、すぐ近くの座席背もたれを掴む。
しかし、慣性の法則は異界でも適用され、車掌さんはバタンと通路に倒れてしま
った。オイラはすぐさま車掌さんのもとに駆け寄った。
「大丈夫です・・・えっ?」
「ふぅ、全くどうしたというのでしょうか?」
起き上がった車掌さんは帽子がどこかに飛んでいた。
そして、髪の毛が肩を超えて・・・。
「シャーロット?なんで、そんな格好しているの?」
「・・・?!あっ、帽子が・・・」
そう、車掌はシャーロットだったのである。
「シャーロット、何やってるの?あっ、わかった。車掌のコスプレだ!」
「ち・が・い・ま・す!」
そうだよな。この列車には車掌は行きの時に乗っていた男性の車掌さんしか居な
いはずだよな。違うのか?
「まさかと思うけど、異界管理局に向かう時の車掌さんもシャーロットだった?」
「上手く騙せていたみたいですね。」
「だけど、行きは明らかに中年男性だったよね。どういうこと?」
「帽子に秘密があったのです。あの帽子には幻惑の力を持たせていて、変装してい
るように見せられるのですわ。」
なるほど、そう言うことだったのか・・・。
「で、なんでそんなことしたの?」
「それは、誰よりも早く、善行さんの 試験結果を確認するためですわ!
そして、もし試験に失敗していたら、私が一番に慰めるつもりでしたのに・・・」
いや、試験失敗が前提で行動するなんて・・・。
読んでいただき、ありがとうございます。
異界の線路を走るにも衝突を防ぐために、ATSが整備されています。
今回はあまりに速く走り過ぎたため、先行列車に追いつきそうになり、
ATSが動作し、非常停止したということです。
先行列車が遅かったのか?それとも、M-497が速すぎたのか?
次回明らかになります。




