428.試験に行って自分と葛藤するようです
-異界 キハ81系車内-
オイラが乗ったキハ81系は、異界を爆走している・・・はずだ。
何しろ今日は試験を受けに来ているので、周りを眺めている余裕なんてない。
今も、参考書を読み返しているのだ。
とはいえ、義父が界王様だから、鶴の一声でどうにかなるんじゃないか・・・っ
て気持ちもある。まぁ、ズルはさせてくれないだろうけど。
ふと、体が後ろに引っ張られるような感覚が走る。
外を見ると、小さい惑星みたいなものが前方に浮かんでいる。
「ご乗車お疲れさまでした。間もなく異界管理局に到着いたします。
本日の試験会場までの案内の者がお迎えに上がりますので、ホームにてお待ちくだ
さい。今までの努力を存分に発揮されることを祈っております。」
カレチの車掌さんにそんなことを言われると気合が入るな。よし、頑張ろう!
-異界管理局-
キハ81系がホームに滑り込んだ。
さっき穴に入ったと思ったら、すぐにここに着いた。
小さい穴なのかと思ったら、複々線の線路が敷けるくらいの巨大な空間だった。
ここに4線分のホームがあるのも納得だ。
「こちらからお降りください」
オイラが乗っていたのは2号車のグリーン車。デッキに設けられたドアからホー
ムに降り立つ。
「善行さんですね。お待ちしておりました。試験会場までご案内いたします。」
現れたのは、第2世界の閻魔庁職員が着用しているようなスーツに身を包んだ、
長髪の女性。試験と言う大事な場面だと言うのに、なんか惹かれてしまう。
いや、冷静を保たねば・・・。
「こちらが試験会場になります。お呼びになるまで、こちらでお待ちください。」
通されたのは、まるでリビングではないかと思われるような個室。
ティーセットが整えられ、壁には大型のモニター。
ただ・・・どうしてここにこんなものがあるのだ・・・
薄い本、商業誌、単行本が用意されている。
しかも、どノーマルからかなりのマニアックなものまで。
見てしまいたい衝動に駆られるが、ここはぐっと我慢だ。
気分を変えるためにモニターをつけてみる。
ニュースでも流れるかと思ったら・・・大音量で行為中の声が部屋に響く。
慌ててモニターを消す。なんちゅう待合室だ!
ドアがノックされ、さっきの女性が顔を出す。
「善行さん。どうかされましたか?変な声が聞こえてきましたが・・・」
「いえ、モニターをつけたらいきなり変な映像と音声が出たので、慌てて消したと
ころですよ。」
「そうでしたか。こちらの部屋の備え付けのモノは、どうぞご自由に。
もちろん右手の運動も・・・。では。」
は?なんなんだ、この部屋は?あの女性職員、知ってて言ってるのか?
20分程たった頃、再びドアが開いた。
先ほどの女性・・・ではなく、綾香?
「室長、お疲れさまでした!こちらへどうぞ。」
どういうことだ・・・?
読んでいただき、ありがとうございます。
キハ81系の旅は帰りにとっておいて、試験に集中する善行。
そして、テーブルやモニターでは誘惑の数々。
無事に試験を受けることができるのか?また、なぜ綾香がここに?
次回明らかになります。




