418.封筒と自分の運命を引き換えたようです
-限界領域(ヴェルサリオ国) 中央駅-
鉄道が運休し混乱している中央駅に、白いボディーに赤い帯を纏った403形が
滑り込んできた。
国王からの指示で、全てのホームの列車は移動させられ、乗客たちも駅構内から
追い出されて、閑散とした駅に、独特の和音の汽笛が響いた。
403形が停車すると同時に、待機していた国王の近衛が列車に近づく。
先頭車のドアが開き、カティナがホームに降り立つ。
「支援物資を輸送してきました。至急、受け渡しさせていただきたいのですが。」
「よくぞ、持って来て下さいました。国王に代わり、感謝申し上げます。」
すべての車両のドアを開き、カティナたちは念じて荷物を降ろしていく。
そこへ一人の男が現れる。が、彼女の横を通り過ぎて行ってしまう。
彼女の目の前に一通の封筒が置かれていた。
-第75世界 界長邸臨時作戦本部-
「うーん、時々電波が途切れるなぁ。限界領域の中の映像だから、仕方が無いか。
ねぇ、エマ、もう少し映像を安定できない?」
「403形には高出量の送信機積んでおいたんだけど、ワープゲートまでの距離が
遠すぎるみたいね。ちょっと難しいわね。」
今回、限界領域の中の様子が見られるように、403形の至る所にカメラを仕込
んでおいた。そして、ワープゲートに中継器をつけ、限界領域の映像をここでも見
られるようにしたのだった。
辛うじて、中央駅の様子がモニターに表示されている。
ホームに立つカティナと・・・あれはセバスさんじゃないか?
「カティナ君、急いで足下の封筒を読んでくれないか?」
界王様がインカムでカティナに指示をする。
彼女が応答するのはマズいので、こちらからの音声が届くのみだが、映像がこち
らに届いていることを彼女たちは知っている。
彼女は封筒から便箋を取り出し、ドア横についたカメラに向かって映してきた。
そこには、セバスさんが犯してしまった過ちへの謝罪と、限界領域で一生を遂げ
る覚悟が書かれていた。
そしてもう一つ、この列車で運び込まれた爆弾の爆破はセバスさんが行うので、
急ぎ列車を発車させ、ここを脱出するようにと書かれていた。
「カティナ君、起爆スイッチは持っているね。」
「はい。足下に置い・・・・ない。無くなってます。」
起爆スイッチはアタッシュケースに組み込まれていた。
そのアタッシュケースが消えてしまった・・・。
「恐らく、彼が持って行ったんだろう。追跡装置は機能しているかい?」
アタッシュケースには万が一に備え、発信機が取り付けられている。
「はい、機能しています。まだ、追いかければ間に合います。」
「頼む。彼を連れ戻して欲しい!」
彼女は急いでセバスさんを探しに向かった。
もう一人の彼女をホームに残して・・・。
読んでいただき、ありがとうございます。
カティナとセバスと接触しましたが、彼は限界領域に骨をうずめる覚悟です。
セバスをそのまま列車に載せることができれば、順調に任務完了となるはず
だったのですが・・・。




