415.ある時は妻、またある時は科学者のようです
-限界領域(ヴェルサリオ国) 王城 ゲストルーム-
「セラフィーナ様、ご機嫌麗しゅうございます。
いえ、ミーティア様とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
「相変わらずね、セバス。
夫を信じて、あちらの世界で尽力してくれたこと、私は知っているわ。
それなのに、嫌な事ばかりさせてしまったわ。
あたなをこの場所に縛り付けてしまうことも含めてね・・・心からお詫びするわ。」
そう言って、ミーティアに変装したアルテウスの妻は、深々と頭を下げた。
「どうか、頭をお上げください。
すべては自分で決めた道です。お心遣いは不要です。
にしても、見事な変装でございますね。
これなら、あの方も奥方が変装しているとは気づかれますまい。
ただ、ご子息のティアマト様には・・・気が付かれると思いますが。」
「そうね。あの子、意外と感覚が鋭いのよね。
そういえば、後進候補が現れたって喜んでたけど・・・、どうなったのかしら?」
「はい、善行様のことですね。今回も、彼の働きがあって、私はここに居られる
のです。実に不思議なお方です。
第一世界の住民が、そのままの体で存在しているのですから、何か特別な力をお持
ちなのかもしれません。
ティアマト様はすでに、その力のことをご存じなのかもしれませんね。」
-界王城 界王執務室-
善行達が限界領域を孤立させる方法を聞き出せないと諦めて席を外した。
残されたのは界王とコピのみ。
「じっちゃん、ばっちゃんに最近会ったか?」
「こないだ第75世界で会ったぞ。」
「ばっちゃん、最近会ってないけど、元気にしてたか?」
「あー、元気も元気。今は限界領域で、隠密行動中だからって、科学者の恰好
してたなぁ。
ダラダラの白衣着て、頭はボサボサで、丸眼鏡・・・魂の波動は母なのに、見
た目があれだから焦ったよ。」
「相変わらず、じっちゃんに迷惑がかからないように、裏で工作活動やってん
だな。当然、じっちゃんから支援とかしてるんだろ?」
「そりゃぁな。うちの精鋭部隊を変装させて潜り込ませてる。
ただなぁ、限界領域では、外との通信ができないから、僕の指示ではなく、母
に預けてるって感じだな。」
「じっちゃんもばっちゃんも、ほんと苦労してるんだなー。」
-限界領域(ヴェルサリオ国) 執務室-
「本当に、この女性が技術者だと?笑わせるなよ、ルーデリッヒ。」
「いえ、閣下、本当でございます。
ミーティア、例のモノを閣下に!」
「はぁいっ!」
そう言って、ミーティアは手のひらサイズのワープゲートを手のひらに載せ
アルテウスに見せる。
アルテウスは触ろうとはせず、色々な角度からワープゲートを覗き込む。
ーーー実の妻が変装しているとも知らずに。
読んでいただき、ありがとうございます。
じっちゃんはティアマト、ばっちゃんはアルテウスの妻であり、ティアマトの母を
さしております。したがって、本当はばっちゃんではなく、ひいばあちゃんです。
本当のばっちゃんはティアマトの妻、オーレリアですが、コピが幼少の頃から二人
をばっちゃんと呼んでいたので、そのままになっているのです。




