409.限界領域は閉鎖空間ではなかったようです
-第75世界 界長邸臨時作戦本部-
「どういうことですの?セバス。あなたがこんなことをするなんて!」
「お嬢様。私はかつて、前界王様に仕えていた身でございます。
前界王様が限界領域へと追放される際、この世界に行けと命じて下さった恩ある
お方なのです。
私はこうして今まで、お嬢様にお仕えし、人として何不自由ない生活を送ることが
できました。これも、前界王様があの時、命じて下さったお陰なのです。」
セバスは臨時作戦本部に急ごしらえで設置した、取調室に軟禁されている。
もはや、逃げる様子もなく、素直に尋問に応じている。
「セバス君。父が君のことを逃がしてくれた、みたいに思っているけど、本当に
そうなのかな?父がそんな打算もなく行動するとは、どうも信じられないんだよ。
父の非道ぶりを君も見てきたのではないのかい?」
「そ、そんな。確かに、言うことを聞かない世界をいくつも滅ぼし、自分の支配下
に置いておられました。統べる者の宿命ではと思っておりましたが・・・。」
「それにね、私は知ってるんだよ。君を父が利用していたことを。
君は哀れにも、父に利用され、今も利用され続けているんだよ。
親のやったこととは言え、本当に嫌な思いをさせてしまい、申し訳ない。」
「いえ、例え、打算が有ったとしても、私はあの方を恨むことなど致しません。」
「しかし、どうやって限界領域と連絡が取れていたんだい?」
「今から半年ほど前に、手紙が届けられました。ヴェルサリオ国のシーリングスタ
ンプが押されていました。
ヴェルサリオと言う名前は貴方のお父様が、孫につけてやる名前だと常々おっしゃ
っていましたので、すぐにあなたのお父様からの手紙だと分かったのですよ。
そして、手紙に書かれていたのは、限界領域での暮らしから脱却し、異界に舞い戻
る手伝いをして欲しいという内容でした。」
どうやって、その手紙って届いたんだろう?
限界領域とのやり取りするためには、こないだエライ目に遭った、あのゲートを
通るしかできないはず。でも、定期的に列車が行き来しているわけではなく、かつ
限界領域からこちらに出ることもできないはず。
いや、待てよ。ゲントってやつの例があるな。
あいつはどうやって限界領域から異界に出てくることができたんだ?
「善君。その疑問に答えるよ。
実は限界領域と異界の間には、あのゲート以外に、ワープゲートが有ったんだ。」
「ワープゲートは前から有ったと?そして、過去形?」
「そう、限界領域が流刑地なる前から、ワープゲートは存在していたんだ。
限界領域は環境が劣悪でとても人が住める環境ではない。これは昔からだ。
でも、そこに暮らす人々が居たんだ。コピ達の御先祖様が。」
え?スキルーランドのあたりが彼らのホームじゃなかったんだ?
「スキル一族は色んな世界を旅して、自分たちの技術力を試すのを生きがいとして
いたんだ。そして、ある時、限界領域に辿り着き、ここで生き残ることができるか
命がけで挑んだ。そして、何かあった時に限界領域を脱出する手段として、ワープ
ゲートを作ったんだ。
しかし、彼らは限界領域での試が終わると、すぐさま他の地に移り住んだ。
それが、第2世界の今スキルーランドがあるあたりという訳なんだ。
その際に、いくつかのワープゲートをそのままにしてきたという訳だよ。」
「それに目を付けたヴェルサリオ国の連中がワープゲートを再整備し、使えるよう
にしたという訳ですか?」
「そう、そしてワープゲートを活用し、異界管理局の目を盗み、技術を磨いて行っ
たんだ。で、ヴェルサリオ国なんて国を興したわけさ。」
読んでいただきまして、ありがとうございます。
限界領域にはかつてスキル一族が住んでいたという、伝説級の話が飛び出しました。
しかもワープゲートも彼らの残した遺産であることが判明しました。
ワープゲートをどのようにして、彼らが奪ったかを、次回から書いていきます。




