403.異界でも吊り掛けサウンド愛好者は健在のようです
-第75世界 界長邸-
「まさか、ここでTUBEに乗れるなんて思ってもみなかった。
しかも、1938形なんて・・・ラッキー!」
「おい善行、一人で町の中で腕を空に突上げて何やってんだ?
注目の的になっているぞ!」
オイラとしたことが、嬉しすぎてつい・・・。
界王様がロッサーナさんに今回の訪問の理由を伝えていたため、すぐに職人街へ
移動できるようにしてくれるとなった。
ただ、また歩きなのかと思ったら、ロッサーナさんが玄関ではなく、地下に案内
を始めた。
そして、そこにはTUBEのホームが有った。
界長専用の地下鉄で、第75世界の各都市とはこのTUBEで繋がっている。
そこはTGV、ICEなどの高速列車を真似るべきだと思うが、前界長の遺言で
TUBEなのだそう。なんでも、急いで行ったら、折角、市井の状況を把握できる
機会を失ってしまう~とのことだった。
鉄ヲタ的には、吊り掛けサウンドを楽しみたいだけではと思ってしまう。
界長邸を出発したTUBEは3駅で職人街に到着した。
-第75世界 職人街-
「ティムシー?居ないのかしら?居たら返事して欲しいのだけれど!」
ロッサーナさんがティムシーさんの家のドアを勢いよくノックする。
「ティムシー?居な「何用だ?」・・・」
ドアが開いた瞬間、中から酒の匂いがぶちまけられた。
「ティムシーこんな飲んだくれになってしまうなんて・・・。
何が有ったというの?」
「いくらロッサーナさんの頼みだからと言って、なんでも受けてやる道理は
ねーんだぞ!」
うわー、面倒が向こうからやって来た・・・。
「ティムシー君と言ったね。私の頼みでもダメだろうか?」
「誰だって言うんだ?この世界の頂点に立つお方を差し置いて、なんてことは有り
得ないだろ?」
「ティムシー。私達の世界の様に、無数の世界が存在するのだ。
その世界を統べているのが、界王様だ!その界王様の頼みだぞ!」
ティムシーは考え込んでいる。何かしゃべりたいが、隠さなければいけない何か
がある、そんな感じが見て取れる。
「界王様。界王様は神様かい?神様だったらなんで俺はこんな目に合わなきゃいけ
ないんだ?」
「ティムシー君。残念ながら私は神じゃないよ。大体、神なんていないんだ。
今君と話している私が神のようには見えないだろ?
つまり、私だって君と同じで、なんでも見通すことができるなんて能力は持ち合わ
せては居ないんだよ。そんな神みたいな存在はこの世界に存在しないんだよ。
だから、界王として、君のことを知りたいと思っているんだ。
どうだろうか、話を聞かせてはくれないだろうか?」
ティムシーはしばらく考え、そして、語りだした。
「界王様。うちの家族を助けてはくれないだろうか?
訳の分からない連中に家族を攫われてしまったんだ。」
家族を盾に脅されていたということか?
読んでいただき、ありがとうございます。
ティムシーが変貌した原因は家族を攫われ、脅されていたためと分かりました。
では誰が攫ったのか?そして、脅され何をしていたのか?
次回、明らかになっていきます。




