401.界王一族でも育ちは違うようです
-第75世界 中央駅前広場-
「そうそう、善君、トラッドスタイルに着替えないと。
界長邸までは、この世界の住民を装って行動しないと、後々問題になるんだ。」
トラッドスタイルって?今までファッション誌なんてもんは縁がない生活だし。
そう思っていると、界王様が指をパチンと鳴らした。
次の瞬間、オイラの服装が変わった。
「うーん、似合ってるよ、善君。
この世界ではブリティッシュ・トラッドにしておけば問題ないから大丈夫だ。」
いや、何故ブリティッシュ・トラッドなら大丈夫なのか?
そもそも、ブリティッシュ・トラッドって何?
「善行。イギリス伝統のスーツスタイルのことだぞ。
今回はテーラードジャケットをメインに仕上げたな。やるな、じっちゃん!
もちろんアタシ達もレディース版のブリティッシュ・トラッドだぞ。」
コピにそう言われて、何となくわかるような、わからないような・・・。
鉄道のトレンドだったら強いんだけどなぁ・・・。
全員、ブリティッシュ・トラッドなる服装になり、界王様を先頭に歩き出す。
周囲を見渡すと、確かに同じような服装を着ている人ばかりだ。
いつもの恰好で歩くと、確かに浮くな。
でもなんで、普段からこんな堅苦しい服装を着る必要があるのか?
町の人通しの会話が聞こえてきた。
「聞きましたかな?今朝のニュースで列車が失踪したと報じてましたな。」
「ええ、恐ろしい話ですわ。貨物列車だったそうですが、通勤列車だったらと
思うとゾッとしますわ。」
うわー、シャーロットがいっぱいだ。
「善行さん、なんですの?私がどうかしまして?」
「いや、町の人たちのしゃべり方がシャーロットに似てるなと思って。」
「そのことですか・・・実は私はこの世界で育ったんですの。」
「えっ?シャーロットって界王城で育ったんじゃないの?」
「界王家の子供たちは、界王城ではなく、それぞれ別の世界で成人になるまで
過ごすことになります。
私はこの世界で育ったのですわ。今向かっているこの世界の界長邸で生活して
ましたの。懐かしいですわ。」
シャーロットから驚きの発言が有った後、5分ほど歩くと大きな屋敷が見え
きた。第1世界で言うところの迎賓館に近いイメージ。
界王様が門の横にある守衛所に行き、何かを係員に説明している。
係員は血相を変えて、屋敷に走り去っていく。
「今、門開けてもらうから、ちょっと待ってて。」
そして数分後、執事らしき人が建物から出てきて、門が開く。
「おかえりなさいませ、シャーロット様。お元気そうで何よりです。
愚息のヴィンセントはお役に立っているでしょうか?」
この人がヴィンセントさんのお父さん?・・・似てないな。
読んでいただき、ありがとうございます。
シャーロットは第75世界で育ったという、意外な過去が明らかになりました。
そして、さらに驚くのが、シャーロットの執事、ヴィンセントさんは、
シャーロットが育った屋敷の執事の息子だったのです。
限界領域とのつながりが全く見えませんが、少しずつ明らかになります。




